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Kiro Crew の紹介

本記事は Kiro ブログの記事「Introducing Kiro Crew」(2026年8月4日、著者: Bolin Chen、Zejiang (Joe) Guo、Zezhen Xu)を翻訳したものです。

気持ちのいい金曜日の午後。そろそろ仕事を切り上げて、外の天気を楽しもうとしています。ちょうど片付けを始めたところで、チームメイトから緊急のレイテンシー急増について助けてほしいと連絡が入ります。あなたは似たようなインシデントを覚えています。どのメトリクスを調べればいいか、どの診断を走らせるか、前回ログがどこを指し示していたか。問題の切り分け自体は、それほど難しくありません。ただ、いくつものツールをまたいで動く必要があるのに、あなたは一度に一箇所にしかいられないのです。

これが現実のエンジニアリング業務の姿です。それは決して「1 つのセッションで 1 つのタスク」ではありませんでした。リポジトリ、ツール、レビュー、そして何日もの時間にまたがります。たとえ 1 つのタスクが自走していても、それを支えているのは結局あなたです。コンテキストをつなぎ直し、ハンドオフを調整し、手持ちのツールを縫い合わせて、動き続ける何かに仕立てる。気づけばあなた自身が、自分のツール同士をつなぐ統合レイヤーになっています。そしてあなたが席を離れた瞬間、すべては止まり、あなたが戻るのを待ち始めます。

Kiro Crew は、その仕事を代わりに引き受けます。Crew にメッセージを 1 通投げれば、前回どう対応したかを探し出し、まとめ、同僚に送るところまでを、あなたが再び手を入れることなく進めてくれます。あなたはその日の仕事を終えて外に出て、「問題は解決しました」というチームからのメモを目にするだけです。

チケットのキューを渡せば、Kiro Crew はトリアージして振り分け、オーナーを特定し、あなたの判断が必要なものにフラグを立てます。複数リポジトリにまたがるインシデントを指し示せば、あなたが修正に集中している間に調査を進めます。マイグレーションを開始すれば、あなたが会議中でも眠っている間でも、チェックポイントとリトライを通じて前進し続けます。すでにあなたが使っているツールをつなぎ、セッションをまたいで作業を調整するので、戻ってきたときに待っているのは「やり直すべきワークフロー」ではなく「進んだ結果」です。

Kiro Crew の始まり

Kiro Crew は、Amazon 社内の MeshClaw という個人プロジェクトとして始まりました。私たち 3 人は、社内には存在しなかったシンプルなものを求めていました。タスクを投げて、その場を離れ、戻ってきたらレビューする価値のある成果ができている。そして 1 つのプロンプトに付き添い続けるのではなく、複数のタスクを同時に走らせられる。そんな仕組みです。私たちは OpenClaw や、自己学習するエージェントで AI 開発を担う各種ツールの勢いに刺激を受けていましたが、社内開発のセキュリティ要件を満たすものが必要でした。日常的に使っているコーディングツールが Kiro だったので、CLI 経由で Kiro のハーネスの上に構築するのが自然な選択でした。

私たちはまず自分たちのために作りました。やがて Amazon 社内の他のビルダーたちが使い始め、そこで起きたことこそが、これをオープンに公開する理由そのものです。さまざまなバックグラウンドを持つビルダーたちは、単に使うだけでなく、自分の必要に合わせて拡張していきました。誰かが自分のワークフローで穴に気づけば、必要なピースを足し、それはその人自身にも、後から来る全員にも残りました。そうして作られたものの多くは、本来ならバックログに埋もれていたはずの作業です。狭いエッジケース、細かな使い勝手の改善——そのワークフローの中で生きている人だけが思いつくような修正です。6 か月足らずで、Kiro Crew は Amazon 社内の 39,000 人を超えるビルダーに採用され、500 人近いコントリビューターが 597 件の更新を、平均で週 143 コミットのペースで届けてきました。小さく具体的な貢献が積み重なり、個人のサイドプロジェクトは、エンジニアだけに限らない多様な職種のコミュニティによって維持されるものになりました。

この複利的な貢献こそが、オープンソース化を決断させた理由です。あなたのコードとツールにアクセスするワークスペースは、読めて、好きな場所で動かせて、中を検査でき、変更できるべきです。たとえその変更を望んでいるのが自分ひとりだったとしても。この分野は急速に変化しており、オープンソースこそが、すでに有用だと分かっているものを開発者の手に届け、それを使う人たちと一緒に進化させ続けるための手段です。

実務に仕事に耐えるセキュリティ

作業を任せるということは、Kiro Crew にコードや CI への本物のアクセスを渡すということです。だからこそ、最初のコミットから安全であるように作られています。Kiro Crew は初日から多層防御を備えています。OS レベルのサンドボックス、デフォルト拒否のコマンド制御、疑わしいパターンのブロック、入力検証、機密パスのブロック、認証情報のマスキング、そしてすべてのアクションを記録する署名付き監査ログです。オープンソースのエージェントは他にもたくさんあります。Kiro Crew に実務を任せられるのは、それが開発者のために一から作られており、プロダクションコードが要求するセキュリティ姿勢を備えているからです。オープンであるからこそ、すべてのレイヤーをソースと突き合わせて検証し、与えたアクセス権で何をしているかを見張ることができます。

あなたのコードに対して動くワークスペースが、ブラックボックスであってはなりません。Kiro Crew は Agent Client Protocol(ACP)の背後でエージェントをオーケストレーションし、すべてのステップをリアルタイムに観測できます。タスクをどう計画し、並列のサブエージェントをどう起動し、どのツールを呼ぶかをどう決め、各アクションを承認のためにどうゲートし、結果をどう統合し直すのか——そのすべてを見られます。Activity ビューには、各エージェントの推論、すべてのツール呼び出し、そしてその結果が発生順に、ダッシュボード上のエージェントごとのカードとして表示されます。

動かす場所も自分で選べます。デスクトップアプリ、Web ダッシュボード、TUI から Kiro Crew を直接操作でき、会話・ファイル・タスク・承認・メモリ・スケジュール・Apps を横断して扱えます。ローカルでも、自分が管理するリモートマシンでも実行できます。Slack、Telegram、Discord といったツールを接続すれば、ワークスペースやその状態を移すことなく、別のクライアントから同じ作業を続けられます。ダッシュボードはデフォルトでローカルにバインドされ、機密パスと認証情報は実行時に保護され、ツールのリクエストには承認を必須にでき、アクティビティはレビューのために記録されます。

開発者の仕事のしかたに、端から端まで寄り添う

Kiro Crew は、複数リポジトリにまたがるインシデントを同時に調査する、あなたが不在の間に数時間かかるマイグレーションを走らせる、あるいはあなたがログインする前にオープンな PR をチェックして flaky なテストを直しておく朝の定期処理など、セッションをまたいで動くように作られています。それを可能にしているのは、いくつかの要素です。

エージェントは自己学習し、自己進化する: メモリが設定・アクティブなプロジェクトのコンテキスト・関連する履歴を新しいセッションへ引き継ぐので、ゼロから始まりません。あなたの訂正は永続的な「教訓」となり、以降の振る舞いを変えます。プロジェクト固有のガイダンス用に、ワークスペース単位の教訓も使えます。繰り返し現れるパターンは、検査・編集・削除ができる再利用可能なスキルになります。メモリ、教訓、スキルはつねに可視化されているので、Crew が何を持ち越すかはあなたが決められます。

あなたのエージェント Crew は、あなたがいないときも働き続ける: 定期ジョブはあなたが定義したスケジュールで動きます。朝のダイジェストがあなたの注意を必要とするものを集め、ハートビートが PR やデプロイの状態が変わるまで見張り、認証付き Webhook が外部イベントの到着をきっかけに作業を開始します。推論を必要としないジョブは、モデル呼び出しなしの素のスクリプトやコマンドとして実行されます。長時間のタスクは、あなたが別の作業をしている間も、チェックポイント・検証・リトライを通じて前進し続けます。

複数のエージェントを協調させる: 複数の会話のほうが向いている作業では、それぞれ独立したコンテキストを持つ会話を同時に走らせることもできますし、独立した調査や実装をサブエージェントに委譲し、その結果を親の会話に返させることもできます。専門エージェントが並列で作業を処理する間、メインの会話はゴールに集中し続けられます。

作業を目的専用のインターフェースへ持ち込む: すべての作業がチャットウィンドウに向いているわけではありません。Kiro Crew はそれを Apps に持ち込みます。Apps は共有可能で目的に特化したインターフェースで、一つひとつの指示をチャットせずに日々の業務を自動化できます。Apps はカスタム UI と、エージェント・スキル・スケジュール・インテグレーション・バックエンドサービスを組み合わせたものです。MCP Apps とプラグインがデータとアクションをその体験に持ち込み、Kiro Crew は受付からレビュー、完了までの作業の流れを整えます。たとえば Issue トリアージ App は、リポジトリのデータをリーディングペイン付きのキューに取り込み、トリアージ用のコントロール、専門エージェント、定期スキャンを備えます。App のストアページで利用できる Apps は今後も拡大していきますが、ローンチ時点ではワークツリー管理の DevFleets、長時間タスクを実行する Task Runner、Issue と PR をトリアージする Issue Radar などが含まれます。まだ用意されていないツールやユースケース、あるいは「自分の思い描く形」にするために、App SDK で独自の Apps を作ることもできます。

Launch Darkly アプリは、機能管理(フィーチャーマネジメント)の機能をKiro Crew に直接統合します。開発者はワークスペースを離れることなく、あらゆるプロジェクトや環境にわたって Launch Darkly の機能フラグを閲覧、検索、作成、更新できます。Launch Darkly の MCP サーバーとパブリックAPIを基盤としているため、フラグは AI コーディングセッションのネイティブな一部として機能します。エージェントはコード内のフラグ参照を特定し、フラグを利用した変更を実装した上で、ロールアウト(展開)の制御をユーザーに引き継ぐことが可能です。

自分のものにする

Kiro Crew が広がったのは、そのアーキテクチャのおかげではありません。人々が自分の仕事や好みに合わせて曲げられたからです。その同じ可能性が、いまあなたのものになります。あなた専用のエージェントの Crew を組み上げ、あなた固有のツールとワークフローを横断して協調させ、仕事を止めずに進めてください。

今日ローンチする機能は、Kiro Crew を自分の実務で使っていた人たちが作ったものです。次にあなたが必要とする機能は、あなたが作れます。すでに使っているツールを MCP で持ち込み、App を作り、オーケストレーションを形づくり、作ったものを反復し続けてください。すでに持っているスキルもここで動きます。オープンな標準に基づく他のエージェントプラットフォーム向けに作られたものは、Kiro Crew でも変更なしに動くので、ゼロから始め直すのではなく、手元のものを持ち込めます。

プロジェクトの運営方法

私たちは、社内で MeshClaw を育ててきたときと同じ「Kiro Crew で作る楽しさ」を、開発者コミュニティにも体験してほしいと考えています。そのため Kiro Crew はオープンに開発されており、それはガバナンスの進め方も含みます。プロジェクトは MAINTAINERS.md に公開されたメンテナーによるステアリングコミッティが運営し、意図的にミニマルなガバナンスモデルを採っています。提案はプルリクエストとして提出され、リポジトリ上で議論され、決定はそこに記録されて誰でも読めます。どの開発者もその議論に参加できます。コントリビューション、議論、ガバナンス、ロードマップ計画はすべてオープンな場で行われ、次に何が出荷されるかをコミュニティが直接形づくれます。

私たちが言う「オープン」は、信頼に関わる意味でもオープンです。他の AI コーディングツールやプロバイダーとのインテグレーションを含め、あらゆる種類のコミュニティ貢献を歓迎します。開発者の仕事に役立つのであれば、それが Kiro 自身の製品戦略に合致するかどうかに関わらず、ここに置かれるべきです。Kiro はコアプロジェクトを健全に保ち、すべての Issue と PR に対応するためにエンジニアを専任で配置しています。まずは Kiro と AWS のエンジニアがプロジェクトをメンテナンスし、信頼できるコントリビューターが現れるにつれて、私たちのチーム外のメンテナーを含む形へとモデルを拡張していけます。ロードマップは通達ではなく、対話であるべきものです。

Kiro の上に構築

すでに Kiro を使っているなら、設定はそのまま引き継がれます。Kiro Crew はローンチ時点で Kiro CLI の上で動き、既存の .kiro 設定をそのまま読み込むので、ステアリングファイル、スキル、カスタムエージェントは追加設定なしで移行できます。

はじめかた

Kiro Crew のページからダウンロードするか、GitHub リポジトリを今日クローンしてください。リポジトリには macOS、Linux、Windows のセットアップ手順と、Slack、Telegram、WeCom を接続するためのガイドが含まれています。

まずは、すでに 1 セッションを超えて広がっている作業から始めてみてください。マイグレーション、定期的なレビュー、監視が必要なプルリクエストなどです。そこから App をインストールし、繰り返しているワークフローからスキルを作り、あるいはあなたの仕事に次に必要なインテグレーションをコントリビュートしてください。Kiro Crew は、開発者が自分にとって効いたものを共有することで育ってきました。オープンソースとしての公開は、これから何になるかを誰もが形づくれるようにするためのものです。あなたがどんなユースケースや機能を作り出すのか、私たちは待ちきれません。そして私たちと同じくらい、遊びながら試すことを楽しんでもらえたら嬉しいです。

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