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週刊生成AI with AWS – 2025/10/27週

みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの三厨です。11月が始まり、心の中ではre:invent へのカウントダウンを始めました。今年は何が発表されるのでしょうか。。。!?

そして毎年おなじみAWS Japanから提供する re:invent 速報を今年も開催いたします。ぜひこちらのページより事前登録をお願いいたします。

先日 2つの新しいプランを追加した「AWS ジャパン生成 AI 実用化推進プログラム」も非常に多くの申し込みをいただいています。引き続き募集中ですのでよろしくお願いします。

それでは、10 月 6 日週の生成 AI with AWS界隈のニュースを見ていきましょう。先週はBedrock上で利用することができる新モデルやモデル向けツールの発表が多数ありました。

さまざまなニュース

    • AWS 生成 AI 国内事例ブログ: 仰星監査法人様の AWS 生成 AI 活用事例 :株式会社 Sapeet 様支援のもと、Dify を用いて生成 AI アプリを構築し、機微な情報を扱えるセキュアな環境でクライアント情報の収集・環境分析調査時間の 87% 削減を実現
      仰星監査法人様は、株式上場 (IPO) 支援業務やファイナンシャルアドバイザリーサービスなどの各種サービスを提供する法人です。監査業務では、クライアント情報の収集や環境分析に多くの時間を要し、業務効率化が課題となっていました。この課題を解決するため、株式会社Sapeet様の支援のもと、Amazon Bedrock や Difyを採用し、生成AIアプリケーションを構築しました。機微な情報を扱えるセキュアな環境を実現しながら、クライアント情報の収集・環境分析調査時間の87%削減という大きな成果を上げています。
    • AWS 生成 AI 国内事例ブログ: ロジカル・アーツ株式会社様の AWS 生成 AI 事例「コールセンター業務の効率化と品質向上を実現する生成 AI コンタクトセンター」
      従来のコールセンター業務では、オペレーターの対応品質のばらつきや、問い合わせ対応の効率化が課題となっていました。これらの課題を解決するため、ロジカル・アーツ株式会社様は Amazon Bedrockを活用した生成AIコンタクトセンターソリューションを構築しました。生成AIにより、リアルタイムでのオペレーター支援、自動応答の生成、通話内容の要約などが可能になり、顧客対応の効率化と品質の均一化を実現しています。特に、生成 AI による会話リアルタイム文字起こしと会話議事録生成機能により、エージェントのアフターコールワーク(ACW)時間が 75% 削減され、従来 20 分かかっていた作業が 5 分で完了できるようになりました。この時間短縮により、電話対応件数が 100% 増加し、従来 20 人で対応していた業務量を 10 人で処理できるようになったことで、人的リソースの最適化を実現しました。今後は、さらなる機能拡張を通じて、コールセンター業務の更なる高度化を目指しています。
    • ブログ記事「AWS 金融リファレンスアーキテクチャ日本版 2025 (v1.6) アップデート」を公開
      AWS 金融リファレンスアーキテクチャ日本版がバージョン1.6にアップデートされました。この記事では、金融機関がAWS上でセキュアかつスケーラブルなシステムを構築するためのベストプラクティスとアーキテクチャパターンを紹介しています。今回のアップデートでは、生成AIを活用した金融サービスの実装パターンや、最新のセキュリティ要件への対応方法が追加されています。金融業界特有の規制要件に対応しながら、生成AIを活用する際の参考アーキテクチャとして活用いただけます。
    • ブログ記事「エージェントステアリングと MCP を使って Kiro に新しいスキルを教える方法」を公開
      この記事では、Kiro における2つの重要な新機能を紹介しています。1つ目は「エージェントステアリング」で、エージェントの動作をより細かく制御し、特定のタスクに最適化できるようになりました。2つ目は「Model Context Protocol (MCP)」のサポートで、外部ツールやデータソースとの統合が容易になります。記事では、これらの機能を使ってKiroに独自ライブラリを理解させ、連携する例を通じて、エージェント開発の新しいアプローチを解説しています。開発者がAIエージェントをより効果的に活用するための参考になる内容です。

サービスアップデート

    • AWS Marketplace、AIエージェントとツールの価格モデルの柔軟性を提供
      AWS Marketplaceは、AIエージェントとツールに対して柔軟な価格モデル、簡素化された認証、効率化されたデプロイメントを提供開始しました。Amazon Bedrock AgentCore Runtimeコンテナに対する契約ベースおよび使用量ベースの価格設定が可能になり、顧客は自社のビジネスモデルに最適な価格体系を選択できます。また、認証プロセスが簡素化され、デプロイメントの複雑さが軽減されることで、AIエージェントソリューションの導入がより容易になります。これにより、ISVはAIエージェントソリューションをより柔軟に提供でき、顧客は自社のニーズに合わせた選択が可能になります。
    • Amazon Bedrock AgentCore Browser、Web Bot Authで CHAPCHA を削減(プレビュー)
      Amazon Bedrock AgentCore BrowserがWeb Bot Authをサポートし、AIエージェントが大規模にウェブサイトと対話する際の CHAPCHA による中断を削減できるようになりました(プレビュー)。従来、AIエージェントがウェブサイトにアクセスする際、ボット検出システムによってCHAPCHA認証を求められることが多く、自動化の妨げとなっていました。Akamai Technologies、Cloudflare、HUMAN Securityなどの主要なセキュリティプロバイダーとの連携により、正当なAIエージェントのアクセスを効率的に検証し、CHAPCHAの表示を削減します。これにより、AIエージェントによるウェブ自動化がよりスムーズに実行できるようになります。
    • TwelveLabs Pegasus 1.2モデルが3つの追加AWSリージョンで利用可能に
      TwelveLabsの動画理解モデルPegasus 1.2が、米国東部(バージニア北部)、米国西部(オレゴン)、欧州(フランクフルト)の3つの追加AWSリージョンで利用可能になりました。Pegasus 1.2は、動画コンテンツの分析、検索、要約などを高精度で実行できる動画理解AIモデルです。これにより、より多くのリージョンで動画分析ソリューションを構築できるようになり、レイテンシーの削減やデータレジデンシー要件への対応が容易になります。
    • TwelveLabs Marengo Embed 3.0、Amazon Bedrockで高度な動画理解を実現
      TwelveLabsのMarengo Embed 3.0がAmazon Bedrockで利用可能になりました。このモデルは、動画、画像、音声、テキストを単一の表現空間に統合する動画ネイティブマルチモーダル埋め込み機能を提供します。最大4時間の動画と音声コンテンツを処理でき、スポーツ分析の改善や36言語へのグローバル多言語サポートが含まれています。
    • Amazon Nova Multimodal Embeddingsを発表
      Amazon Nova Multimodal Embeddingsの一般提供が開始されました。テキスト、ドキュメント、画像、動画、音声を単一のモデルでサポートする統合埋め込みモデルで、クロスモーダル検索を実現します。最大8Kトークンの入力と最大30秒の動画/音声セグメントをサポートしています。
    • Stability AI Image Services、Amazon Bedrockで4つの新しい画像編集ツールを追加
      Amazon Bedrock で利用することができる Stability AI Image Services に4つの新しい画像編集ツール(Outpaint、Fast Upscale、Conservative Upscale、Creative Upscale)を追加しました。これらのツールにより、クリエイターはワークフローをより細かく制御でき、コンセプトを完成品に効率的に変換できます。
    •  Amazon NovaモデルでWeb Grounding機能が一般提供開始
      Amazon Novaモデル向けの新しい組み込みツール「Web Grounding」の一般提供が開始されました。Web Groundingは、公開されている情報を引用付きで取得し、応答のコンテキストとして組み込むことができるツールです。開発者は、現在のリアルタイム情報を使用したRAGソリューションを実装でき、ハルシネーションを削減できます。
    • Model Context Protocol (MCP) Proxy for AWSが一般提供開始
      Model Context Protocol (MCP) Proxy for AWSの一般提供が開始されました。MCPは、AIアプリケーションがコンテキスト情報を標準化された方法で共有するためのオープンプロトコルです。このプロキシにより、MCPクライアントがAWS SigV4認証を使用してリモートのAWSホスト型MCPサーバーに安全に接続できるようになります。Amazon Q Developer CLI、Kiro、Cursorなどの人気のエージェント型AI開発ツールをサポートしており、読み取り専用モードなどの安全制御機能を備えています。これにより、開発者はAIエージェントと外部システムの統合をより安全かつ容易に実現できます。
    • AWS IoT Greengrass開発者向けAIエージェントコンテキストパックを発表
      AWS IoT Greengrass開発者向けのAIエージェントコンテキストパックが発表されました。このコンテキストパックは、AIエージェントがIoT Greengrassの開発タスクを支援するために必要な情報を提供します。開発者は、AIエージェントを活用してIoTアプリケーションの開発、デバッグ、最適化をより効率的に行うことができます。
    • AWS Serverless MCP Server、AWS Lambda Event Source Mapping (ESM) ツールをサポート
      AWS Serverless Model Context Protocol (MCP) Serverが、AWS Lambda Event Source Mapping (ESM) 用の専用ツールをサポートするようになりました。これらのツールは、開発者がイベント駆動型サーバーレスアプリケーションのセットアップ、最適化、トラブルシューティングを効率化します。
    • AI/ML/HPCインスタンスタイプ向け Capacity Reservation Topology API を発表
      Capacity Reservation Topology APIが、AI/ML/HPCワークロード向けのインスタンスタイプをサポートしました。このAPIにより、大規模な生成AIモデルのトレーニングや推論に必要な計算リソースを、最適なネットワークトポロジーで予約できます。特に、複数のGPUインスタンス間の高速通信が必要な分散学習において、パフォーマンスの向上が期待できます。
    • Amazon SageMaker、検索コンテキスト機能を追加
      Amazon SageMakerに検索コンテキスト機能が追加されました。この機能により、機械学習モデルの開発過程で、関連する実験、モデル、データセットを効率的に検索し、コンテキストを把握できるようになります。大規模なML開発プロジェクトにおいて、過去の実験結果や関連リソースを素早く見つけることができ、開発効率が向上します。

今週は以上です。それでは、また来週お会いしましょう!

著者について

Wataru Mikuriya

三厨 航  (Wataru MIKURIYA)

AWS Japan のソリューションアーキテクト (SA) として、ヘルスケア・ハイテク製造業のお客様のクラウド活用を技術的な側面・ビジネス的な側面の双方から支援しています。クラウドガバナンスや IaC 分野に興味があり、最近はそれらの分野の生成 AI 応用にも興味があります。最近見たアニメは「光が死んだ夏」です。