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週刊生成AI with AWS – 2025/6/9 週

みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの三厨です。
6 月 25 日 (水)、26 日 (木) に開催される AWS Summit Japan 2025 まであと少しですね。
本ブログ内でもいくつか展示についてのブログをピックアップしておりますので、ご興味のある皆様はぜひ ↑ のリンクよりご登録をお願いいたします。そのほかにも新しいお客様の活用事例や GPU インスタンスの値下げ、用途特化のエージェントに関する情報などが今週も盛りだくさんです。
それでは、6月9日週の生成 AI with AWS 界隈のニュースを見ていきましょう。

さまざまなニュース

    • ブログ記事「AWS 生成 AI 事例 : 株式会社 Nint 様の EC モールデータ分析サービスにおける AI 分析機能の開発」を公開
      株式会社 Nint 様は「データで世界を自由にする」というミッションのもと、日本、中国、および東南アジアにおいて大手ECモールのデータ分析サービス「Nint ECommerce」を提供している企業です。従来、データ分析には高度な知識や経験が必要で、未経験者には敷居が高く、スキル獲得に1-2ヶ月を要するなどの課題がありました。これを解決するために、Amazon Bedrock エージェントを活用した対話形式のデータ分析 AI 機能「Nint AI」を開発しました。その結果、ユーザーは自然言語で分析作業をリクエストするだけで、AIエージェントが自律的に必要な作業を行い、分析結果やインサイトを提示し、視覚的に説明するためのグラフや図表を描画できるようになりました。今後、さらなる機能拡張を検討されています。
    • ブログ記事「AI チャットボットを超えて:Amazon.comの生成AIでビジネスを再発明した事例」を公開
      この記事では、Amazon.comが生成AIをどのように活用して様々な業界に変革をもたらしているかについて解説しています。単なるAIアシスタント以上の活用事例として、製品開発、カスタマーサービス、マーケティング、Amazon Pharmacy など多岐にわたる領域での実践例を紹介しています。Amazon.comの経験から得られた教訓や、他の企業が生成AIを戦略的に活用するためのヒントも提供されており、ビジネス変革を目指す組織にとって有益な活用事例となっています。
    • ブログ記事「Amazon の生成 AI 搭載ショッピングアシスタント Rufus を、80,000 以上の AWS AI チップを活用して Prime Day 向けにスケーリング」を公開
      Amazon Rufusは生成AIを活用したショッピングアシスタントで、Amazon の商品情報やウェブ上の様々な情報を活用してお客様のよりスマートなお買い物をサポートします。この記事では、RufusがNeuron SDKやInferentia2、Trainiumチップ、そしてAWSの各種サービスを活用して、数十億のパラメータを持つLLMを安定的にデプロイし、運用する方法を紹介しています。80,000以上のAWS InferentiaとTrainiumチップを活用することで、他のソリューションと比べてコストを約4.5分の1に削減し、P99レイテンシーを1秒未満に保ちながら1分間に平均300万トークンを処理することを実現しています。
    • ブログ記事「AWS Summit 2025 Japan 小売・CPGブースとセッションのご案内」を公開
      この記事では、AWS Summit Japan 2025における小売・CPG(消費財)業界向けのブースとセッションについて紹介しています。生成AIを活用した顧客体験の向上、サプライチェーン最適化、データ分析などのテーマに関するセッションやデモが予定されており、小売・CPG業界の企業がAWSの最新技術をどのように活用できるかを学ぶ機会となっています。業界特有の課題解決に焦点を当てた内容となっており、関連業界の方々に特に参考になる情報が提供されています。
    • ブログ記事「AWS Summit Japan 2025 ~ 生成 AI とグラフデータを活用した 業務横断データ活用(Digital Thread)の展示のご紹介」を公開
      この記事では、AWS Summit Japan 2025で紹介される「Digital Thread」の概念と、それがどのように製造業のデジタルトランスフォーメーションを加速するかについて解説しています。Digital Threadは製品のライフサイクル全体にわたるデータの流れを一元管理するアプローチで、生成AIを活用することでさらに強化されます。記事では、Summit会場でのデモ展示内容や関連セッションの紹介も行っており、製造業に関わる方々にとって有益な情報が満載です。
    • ブログ記事「生成 AI (Amazon Bedrock と Amazon Q Developer) を活用した製造業スマート製品開発の新しいかたち-Part1 顧客体験とサービス運営力の向上」を公開
      この記事では、製造業におけるスマート製品開発に生成AIがどのように変革をもたらすかについて解説しています。Amazon BedrockとAmazon Q Developerを活用することで、顧客体験とサービス運用を向上させる方法に焦点を当てています。具体的には、製品設計プロセスの効率化、顧客フィードバックの分析、サービスマニュアルの自動生成などのユースケースを紹介し、製造業における生成AIの実践的な活用方法を示しています。
    • ブログ記事「Amazon Bedrock を使用したWell-Architected な生成 AI ソリューションによる運用効率の向上」を公開
      この記事では、AWS Well-Architected Frameworkの原則に基づいた生成AIソリューションの構築方法について解説しています。特に運用効率の向上に焦点を当て、Amazon Bedrockを活用した生成 AI アプリケーションの設計、デプロイ、運用のベストプラクティスを紹介しています。セキュリティ、信頼性、パフォーマンス効率、コスト最適化などの観点から、生成 AI ソリューションを構築する際の重要なポイントを詳細に説明しています。
    • ブログ記事「AWS Transform の AI エージェントを使って メインフレームモダナイゼーションジャーニーを加速する」を公開
      この記事では、AWS Transformを使用したメインフレームモダナイゼーションプロセスにAIエージェントを活用する方法について解説しています。AIエージェントがレガシーコードの分析、現代的なアーキテクチャへの変換、テスト自動化などをサポートすることで、従来は複雑で時間のかかるメインフレームモダナイゼーションプロジェクトを大幅に効率化できることを示しています。具体的なユースケースや実装例も紹介されており、メインフレームモダナイゼーションに取り組む組織にとって参考になる内容です。
    • ブログ記事「Amazon Nova Canvas を使ったテキストから画像生成の基礎」を公開
      Amazon Nova Canvasは、テキストプロンプトから高品質な画像を生成するAIモデルです。この記事では、Nova Canvasの基本的な使い方から、効果的なプロンプトの書き方、様々な画像スタイルの生成方法まで、実践的な内容を紹介しています。画像生成AIを初めて使う方にも分かりやすい内容となっており、クリエイティブな作業の効率化に役立つ情報が満載です。具体的なプロンプト例と生成結果の比較も掲載されており、すぐに実践できる知識を得ることができます。
    • ブログ記事「インテリアデザインと商品写真における Amazon Nova Canvas の実用例」を公開
      この記事では、Amazon Nova Canvasを使ったインテリアデザインと製品写真撮影の実用的な活用例を紹介しています。Nova Canvasを使用することで、実際の写真撮影を行わずに様々な環境での製品イメージを生成したり、インテリアデザインのコンセプト作成を効率化できることを解説しています。具体的なプロンプト例や生成された画像サンプルも豊富に掲載されており、クリエイティブ業界での実践的な活用方法を学ぶことができます。
    • ブログ記事「Amazon EKS MCP Server によるアプリケーション開発の促進」を公開
      この記事では、Amazon EKSで実行されるModel Context Protocol(MCP)サーバーを使用して、アプリケーション開発を加速する方法を紹介しています。MCPは、AIモデルが外部ツールやデータソースにアクセスするためのオープンプロトコルで、Amazon Q Developer CLIなどのAIアシスタントと連携することで、開発者はKubernetesリソースの作成や管理を自然言語で行うことができるようになります。記事では、MCPサーバーのセットアップから実際の使用例まで、詳細なステップバイステップガイドを提供しています。AWS の公開しているMCPサーバーはこちらのGitHubレポジトリにまとまっておりますので、ぜひご一読ください。
    • ブログ記事「Amazon EC2 NVIDIA GPU 高速インスタンスの最大45%価格削減を発表」を公開
      Amazon EC2のNVIDIA GPU高速インスタンスの価格を最大45%削減することが発表されました。この記事では、P4、P5インスタンスファミリーの価格削減について詳しく説明しています。これらの料金更新は、コスト削減分を直接お客様に還元しながら高度な GPU コンピューティングをより利用しやすいものにする AWS の取り組みを反映しており、お客様は生成AIモデルの開発・推論をより高いコスト効率で取り組むことができるようになります。価格削減は、オンデマンドインスタンス、Savings Plans、リザーブドインスタンスなどの購入オプションに適用されます。詳細は Amazon EC2 料金ページをご参照ください。

サービスアップデート

    • Amazon Q Developer IDE プラグインでMCPツールをサポート開始
      Amazon Q DeveloperがIDE プラグインでModel Context Protocol (MCP)をサポート開始しました。MCPは、AIモデルが安全で構造化された方法で外部ツール、データソース、APIにアクセスするためのオープンプロトコルです。開発者は外部ツールを利用してより豊富なコンテキストでの開発ワークフローを実現できるようになります。Visual Studio Code、JetBrains IDE plugins、Amazon Q Developer CLIで利用可能で、より カスタマイズされた応答を提供し、ネイティブツールとMCPサーバーベースのツール間でタスクを調整できます。
    • Amazon Q Developer で CLI における Java の選択的変換(プレビュー)を発表
      Amazon Q DeveloperにてJavaコードの選択的変換を行うCLI機能がプレビューで発表されました。レガシーJavaコードのモダナイゼーションや、特定の部分のみを対象とした変換作業を効率的に行うことができます。大規模なJavaアプリケーションの段階的な移行に特に有用な機能です。この機能を使用することで、Java 8からJava 21への移行、JUnitのバージョンアップグレード、Log4jからLogbackへの移行など、特定のコード変換タスクを選択的に実行できます。変換プロセスは高度にカスタマイズ可能で、特定のファイルやディレクトリを対象にすることも可能です。現在、米国東部(バージニア北部)リージョンでプレビュー提供されています。
    • Amazon Q Developer Pro tier でBuilder IDのアップグレードが可能に
      Amazon Q Developer Pro tierにて、Builder IDのアップグレード機能が追加されました。これにより、個人のBuilder IDからチーム向けのPro tierへのスムーズな移行が可能になり、より高度な機能やサポートを利用できるようになります。開発チームの生産性向上に貢献する機能です。アップグレードプロセスは簡素化され、既存のBuilder IDを維持したまま、Pro tierの高度なコード生成、コードトランスフォーメーション、セキュリティスキャンなどの機能を利用できるようになります。この機能は、Amazon Q Developerが利用可能なすべてのリージョンで提供されています。
    • Amazon Lex で LLM-Assisted NLUによって会話精度が向上
      Amazon Lexにて、大規模言語モデル(LLM)を活用した自然言語理解(NLU)機能により、会話の精度が大幅に向上しました。従来のルールベースのアプローチと比較して、より自然で柔軟な対話が可能になり、ユーザーの意図をより正確に理解できるようになりました。この機能強化により、複雑な表現や文脈依存の質問にも適切に対応できるようになり、チャットボットやボイスアシスタントの品質向上に大きく貢献します。現在、米国東部(バージニア北部)、米国西部(オレゴン)、欧州(アイルランド)リージョンで利用可能です。
    • Amazon Nova Sonic でスペイン語サポートを開始
      Amazon Nova Sonicにてスペイン語のサポートが開始されました。これにより、スペイン語圏のユーザーもNova Sonicの高品質な音声生成機能を活用できるようになります。多言語対応の拡充により、グローバルなアプリケーション開発がより容易になりました。Nova Sonicは自然で表現力豊かな音声を生成するAIモデルで、ポッドキャスト、オーディオブック、教育コンテンツなど様々な用途に活用できます。スペイン語サポートは、米国東部(バージニア北部)、米国西部(オレゴン)リージョンで利用可能です。
    • Amazon Bedrock Custom Model Import で Qwen モデルをサポート
      Amazon Bedrock Custom Model ImportにてQwenモデルのサポートが開始されました。Qwenは高性能な多言語対応の大規模言語モデルで、特に中国語や日本語などのアジア言語に強みを持っています。お客様は独自のQwenモデルをBedrockに持ち込んで利用できるようになり、より多様なユースケースに対応可能になりました。サポートされるモデルには、Qwen1.5-0.5B、Qwen1.5-1.8B、Qwen1.5-4B、Qwen1.5-7B、Qwen1.5-14B、Qwen1.5-32B、Qwen1.5-72B、Qwen1.5-110Bが含まれます。現在、米国東部(バージニア北部)、米国西部(オレゴン)、アジアパシフィック(東京)を含む複数のリージョンで利用可能です。
    • PowerTools for Lambda に Bedrock Agents 機能ユーティリティを追加
      AWS Lambda PowerToolsにて、Amazon Bedrock Agents向けの機能ユーティリティが追加されました。これにより、Lambda関数内でBedrock Agentsをより簡単に活用できるようになり、サーバーレスアーキテクチャでのAIエージェント開発が効率化されます。新しいユーティリティは、Bedrock Agentsのアクション実行に必要なボイラープレートコードを削減し、エラー処理、入力検証、レスポンス形式の標準化などを自動化します。Python、TypeScript、Java言語でサポートされており、開発者はより本質的なビジネスロジックの実装に集中できるようになります。
    • Amazon SageMaker AI GPU高速インスタンスの価格を最大45%削減
      Amazon SageMaker AI GPU高速インスタンスの価格を最大45%削減することが発表されました。対象はP4 (P4d, P4de)、P5 (P5, P5e, P5en)インスタンスタイプで、オンデマンドおよびSavings Plan価格、利用可能な全リージョンに適用されます。オンデマンド購入は6月9日から、Savings Plan購入は6月16日以降に適用されます。また、SageMaker HyperPodのフレキシブルトレーニングプランの価格も削減され、より費用対効果が高い生成AIモデル開発を実現できます。

今週は以上でした。それでは、また来週お会いしましょう!

著者について

Wataru Mikuriya

三厨 航(Wataru Mikuriya)

AWS Japan のソリューションアーキテクト (SA) として、ヘルスケア・ハイテク製造業のお客様のクラウド活用を技術的な側面・ビジネス的な側面の双方から支援しています。クラウドガバナンスや IaC 分野に興味があり、最近はそれらの分野の生成 AI 応用にも興味があります。最近見たドラマは「ブラッシュアップライフ」です。