Amazon Web Services ブログ

VMware 環境を思いのままに:Amazon Elastic VMware Service が一般提供開始

本稿は、2025 年 8 月 5 日に AWS Migration & Modernization Blog で公開された “Run VMware your way: Amazon Elastic VMware Service is now generally available” を翻訳したものです。

VMware 上でミッションクリティカルなワークロードを実行している企業にとって、クラウドへの移行は既存の投資を維持するか、イノベーションを受け入れるかの選択を迫られることが多くありました。本日、それが変わります。Amazon Elastic VMware Service (Amazon EVS) が 6 つの AWS リージョンで一般提供を開始し、VMware Cloud Foundation (VCF) ユーザーに AWS のスケール、柔軟性、パフォーマンス、セキュリティを提供します。

Amazon EVS が提供するもの

  • 完全な VCF 環境を数週間ではなく数時間でデプロイ
  • クラウド内の VMware スタックを完全にコントロール
  • 既存の VMware スキルとツールを活用
  • リファクタリングなしで 200 以上の AWS サービスにアクセス
  • ニーズに基づいてリソースを動的にスケール

Amazon EVS が組織のクラウドジャーニーで直面する主要な課題にどのように対処するかを探ってみましょう。

課題

推定では、企業ワークロードの 75% が現在もオンプレミスで稼働しており、重要なアプリケーションが依然として VMware 上で実行されています。これらのアプリケーションは、顧客取引から製造業務まですべてを管理し、収益と顧客満足度に直接影響を与えています。これらのアプリケーションはクラウドの恩恵を受けられるはずですが、既存の複雑な依存関係や統合のため、移行が困難になっています。

これにより、お客様のような組織にとって差し迫った課題が生じています。オンプレミスのデータセンターには多額の設備投資と継続的なメンテナンスが必要であり、イノベーションのためのリソースが制限されます。一方で、ビジネスにおける俊敏性、スケーラビリティ、コスト最適化に対する要求は高まり続けています。業務を中断したり、大規模な再設計を必要とせずに、VMware ワークロードにクラウドの利点をもたらす方法が必要です。これらの課題に対処するため、VMware と AWS の長所を組み合わせたソリューションを開発しました。Amazon EVS は、VMware の移行とモダナイゼーションパスウェイの包括的なポートフォリオへの最新の追加となるもので、ワークロードをクラウドに移行し、モダナイゼーションの旅を始めるための選択肢をさらに増やします。

Amazon EVS の違い:コントロール、柔軟性、選択肢

私たちは、クラウド上で VMware を実行するためのより多くの選択肢を提供する必要性に応えるため Amazon EVS を構築しました。多くのお客様が Broadcom の VMware Cloud on AWS マネージドサービスの恩恵を受けている一方で、Amazon EVS は選択肢を拡大し、AWS ネイティブサービスならではのコントロール、選択、柔軟性を提供します。

Amazon EVS の核心は、AWS Nitro を搭載した EC2 ベアメタルインスタンス上で、Amazon Virtual Private Cloud (VPC) 内で VCF をネイティブに実行することです。完全な VCF 環境のセットアップは、ステップバイステップの設定ワークフローを使用する場合でも、自動デプロイメント機能を備えた AWS Command Line Interface (CLI) を使用する場合でも、わずか数時間で完了します。この迅速なデプロイメントにより、ワークロードを AWS に素早く移行し、老朽化したインフラストラクチャを廃止し、運用リスクを軽減し、データセンターからの撤退などの重要なタイムラインを達成することができます。このコントロールと柔軟性が組織にとってどのような実践的なメリットをもたらすのか見ていきましょう。

クラウド上でのアーキテクチャ制御と、任意のソリューションとの統合

Amazon EVS を使用すると、クラウド内の VMware ワークロードのアーキテクチャを完全に制御できます。vSphere、NSX Manager、SDDC Manager への完全な管理アクセスにより、ビジネスニーズに応じて仮想化スタックを最適化できます。このサービスは VCF 5.2.1 をサポートし、Amazon FSx for NetApp ONTAPPure Cloud Block Store などの外部ストレージソリューション、あるいは Veeam Backup and Replication などのバックアップソリューションなど、すでに信頼しているアドオンやサードパーティソリューションを統合できます。

コストを最適化するための柔軟性

技術的な機能に加えて、私たちはビジネスニーズを考慮して Amazon EVS を設計しました。ライセンスと消費の柔軟性がビジネス計画にとって重要であることを理解しています。そのため、Amazon EVS では、ライセンスポータビリティエンタイトルメントを通じて既存の VCF ライセンスを持ち込むことができ、オンデマンド、1 年、3 年の期間を含む柔軟な消費オプションから選択できます。さらに、Amazon EVS は Migration Acceleration Program (MAP) の対象となり、移行コストの削減と AWS への移行の加速を支援します。

環境管理方法の選択肢

社内の専門知識を活用したいか、専門的なサポートが必要かに関係なく、Amazon EVS は組織のニーズに適応します。セルフマネージドによりコントロールを最大化し、既存のスキルを活用することも、マネージドサービスや移行の専門知識を提供する広範な AWS パートナーと協力することもできます。これらのパートナーには、Pellera TechnologiesKyndrylDXC TechnologyXtravirtAccentureAHEADEffectualPresidioCDW富士ソフトなどの業界リーダーが含まれます。

これらのパートナーは、Amazon EVS での成功を支援する実証済みの専門知識を提供します。例えば、Converge は現在、お客様向けに EVS (Elastic VMware Service) IQ Migrate サービスを提供しています。Pellera Technologies のクラウドプラットフォーム担当副社長である Rochelle Manns 氏は次のように説明しています:「Amazon EVS の機能と当社のインテリジェントサービスを組み合わせることで、複雑さや妥協なしに、AWS 上の VMware 環境の評価、移行、運用への明確な道筋を顧客に提供しています。パートナー主導のアプローチのシンプルさと、自分のペースでモダナイゼーションを進められる柔軟性を兼ね備えています。」

同様に、DXC Technology は DXC Migration and Managed Services for Amazon EVS を開始しました。DXC Technology のクラウド&インフラストラクチャオファリング責任者である Andrew Haigh 氏は、Amazon EVS を検討しているお客様にとってのパートナーの価値を強調し、次のように述べています:「Amazon EVS の開始は、VMware の信頼できる VCF プライベートクラウドプラットフォームと革新的な AWS クラウドネイティブサービスを組み合わせた、AWS 上の企業にとって魅力的なソリューションを提供します。DXC の仮想化ワークロードの移行と運用における数十年の経験により、お客様は迅速かつ確実にクラウド導入戦略を実行し、ビジネス価値を実現することができます。」

さらに、富士ソフトのソリューション事業本部副本部長 兼 インフラ事業部事業部長執行役員である山本祥正氏は、このサービスがお客様の移行ジャーニーにどのように支援するかを強調しました:「この新たなサービスは、VMware 環境をお客様の AWS クラウドジャーニーとシームレスに統合し、インフラストラクチャの移行とモダナイゼーションを加速させる画期的なソリューションであると確信しております。富士ソフトは、Amazon EVS によって、お客様のクラウドジャーニーにおいて新たな価値創造の機会が生まれることを期待しております。」

これらの AWS パートナーと Amazon EVS 向けのソリューションについて詳しく知るには、AWS Marketplace をご覧いただくか、AWS 担当者にお問い合わせください。

スケーラブルな企業インフラストラクチャ

Amazon EVS 上で実行することで、アプリケーションは世界中の数百万ものお客様にサービスを提供している実績のあるグローバルインフラストラクチャと同じメリットを享受できます。スタートアップから Fortune 500 企業まで、組織はピーク時の需要に対応するための拡張性と、通常運用時のコスト最適化を実現するために AWS を信頼しています。ワークロードはリファクタリングやリプラットフォームなしで AWS サービスをシームレスに活用でき、移行とモダナイゼーションの過程を加速することができます。

実際のお客様の成功事例

AWS re:Invent 2024 で Amazon EVS を発表して以来、私たちは顕著なお客様の成功事例を目にしてきました。その中でも際立つ例が、200 万人以上の住民にサービスを提供するコロンビア第 3 の地方自治体である Alcaldía de Cali です。彼らの目標は、200 万人以上の住民により良いデータ駆動型の公共サービスを提供することでした。Amazon EVS を使用することで、24 時間以内に環境を展開し、移行期間中も公共サービスを中断することなく維持することができました。

この勢いは続いており、Aeroméxico や Huron Consulting Group などの組織が、私たちの公式プレスリリースで Amazon EVS への期待を表明しています。

今日から AWS へのジャーニーを開始

Amazon EVS は現在、米国東部 (バージニア北部)、米国東部 (オハイオ)、米国西部 (オレゴン)、アジアパシフィック (東京)、欧州 (フランクフルト)、欧州 (アイルランド) で利用可能です。戦略的なデータセンターの撤退を計画している場合でも、運用コストの削減を検討している場合でも、クラウドイノベーションを活用する準備ができている場合でも、Amazon EVS は VCF ベースのワークロードのためのシンプルなパスを提供します。

次のステップ

Steven Jones

Steven Jones

EC2 の Commercial Applications の General Manager として、SAP、VMware、Red Hat Open Shift on AWS の製品戦略、エンジニアリング実行、カスタマーサクセスをリードしています。AWS 内のこれらのビジネス領域により、企業は最も要求の厳しいワークロードをクラウド上で実行できます。AWS で 13 年の経験を持ち、革新的なソリューションの提供、パフォーマンスのスケーリング、複数のセグメントや業界にわたる成長の推進において確かな実績があります。AWS を最もお客様中心のクラウドプラットフォーム、そしてビジネスクリティカルなワークロードを実行するための最適な場所にすることに情熱を注いでいます。AWS における SAP 技術戦略の推進役であり、ハイパースケールプラットフォーム上での SAP ワークロードの一般サポートや、大容量メモリ SAP HANA ワークロードを支えるクラウドネイティブなインフラストラクチャなど、業界初の取り組みを数多く市場に送り出してきました。また、VMware ビジネスも統括し、お客様が VMware ベースの環境をシームレスに AWS へ移行および拡張できるよう支援しています。創造的なアイデア、抽象化、システムパフォーマンスに関するスキルを活かし、お客様、パートナー、AWS に価値をもたらしています。

Bianca Velasco

Bianca Velasco

AWS の Product Marketing Manager として、AWS 上の VMware ベースワークロードの移行と変革に焦点を当てています。マーケティングとテクノロジーで 7 年以上の経験を持ち、複雑なテクノロジーを意味があり親しみやすいものにする物語を作ることに情熱を注いでいます。AWS 以外では、Bianca はボランティア活動、ダンス、ボルダリングを楽しんでいます。

Andy Reedy

Andy Reedy

EC2 Commercial Applications の Product Management の Sr. Manager として、VMware、SAP、Red Hat OpenShift ワークロードに焦点を当てたチームを率いています。IT インフラストラクチャ、ネットワーキング、セキュリティ、クラウド戦略、エンタープライズソフトウェア分野で 25 年以上の経験を持ち、ビジネスクリティカルなアプリケーションの移行やモダナイズをお客様が実現できるよう支援することに情熱を注いでいます。

翻訳はパートナーソリューションアーキテクト 豊田が担当しました。原文はこちらです。