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株式会社ファイン様のAWS 生成AI活用事例:建築AIパース生成サービスにレコメンドAI機能を実装。担当者の商品検索時間を75%削減し、顧客満足度も向上。

本ブログは株式会社ファイン様と Amazon Web Services Japan 合同会社が共同で執筆いたしました。

皆様こんにちは。AWSジャパン アカウントマネージャーの松家です。

近年、多くのお客様が生成AIの検証段階から本番環境への適用に移行されています。また、開発現場にも生成AIが活用される時代になり、アイデアから実装に至るまでのスピードも劇的に早くなっていることを実感しています。

「建築CGのデジタル素材」という市場において高品質なデジタル商品、サービスを提供されている株式会社ファイン様は実際のビジネス課題を解決する機能をAWS上で開発するハッカソンイベント AWS DEVCRAFTに参加。Amazon SageMakerやAmazon Bedrockを通じてAmazon Titan Multimodal Embeddings を活用し、設計からわずか1か月半で生成された建築AIパースのイメージに近い商品をレコメンドする機能を開発されました。
本記事では生成AIを活用した業務効率化、および顧客満足度向上の取り組みについてご紹介いたします。

お客様の状況と検証に至る経緯

株式会社ファイン様は施主の要望と設計者の見識から建築パース画像を生成するサービス「AI PERS(AIパース)」を提供されています。このサービスはお客様に大変好評だったものの、いくつか運用面で課題が残っていました。

• 施主のイメージは具体化出来るが、実際の商品とのマッチングや検索に時間がかかってしまう。

• 営業や設計の商談に差が出てしまい、お客様の検討の温度感が高い間に提案が出来ずに至ってしまう。

そこで、生成AIを活用してこれらの課題を解決できないかと考えました。

ソリューション / 構成

施主が選択したプランから、理想のお部屋イメージを入力すると入力内容に基づき建築AIパースが生成されます。その生成されたAIパースのイメージと、実際に販売している商品とをベクトル検索を通じておすすめ度の1-5位を表示します。

機能全体のフロー

• 生成された画像の中から検索をかけたい部位を検出します。今回は床を想定しています。

• その床部分だけをAWS Lambdaを用いて切り抜きます。

• 切り抜かれた画像をAmazon Bedrock に渡し、ベクトル化モデルのAmazon Titan Multimodal Embeddings を活用し、ベクトル化を実施します。

• Amazon RDS PostgreSQLでベクトル検索を行い、類似品を検索します。


導入効果

ファイン様の「レコメンド AI」により、以下の効果が期待されています。

• 出力されたAIパースのイメージに近い商品を探す時間を75% 削減し、担当者の工数削減に寄与する。

• ベクトル検索を通じて、おすすめ度合いに応じて1-5位まで瞬時に表示できるため、顧客体験の標準化や向上を図る。


今後の展望

今後の展開について、ファイン様は次のように意欲を示しています。

• AIパースサービスからの連携だけでなくSNSなどの写真画像を入力としての機能拡張

• 自社のパース制作アプリケーションの自動仕様設定機能として組み込み

• 自社のコンテンツ配信サービス(データステーション)の検索機能としての組み込み

AWS DEVCRAFTでの取り組み内容発表時の様子
株式会社ファイン 開発部 ゼネラルマネージャー 雑賀 崇 氏