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AI エージェントがミニ四駆を制御! AWS Summit Japan 2025 で産業 DX の可能性を発見

こんにちは!ソリューションアーキテクトの中西です。AWS Summit Japan 2025 で展示予定の「IoT ミニ四駆よ! シリコンバレーの風を切れ」は、懐かしのミニ四駆に IoT 技術と AI を組み合わせ、製造業への転用可能性も秘めたデモとなっています。

図1: IoT ミニ四駆がサーキットを走行し、リアルタイムでテレメトリデータが可視化される様子

このデモでは、リアルタイムデータ収集、AI による自律制御、予知保全といった技術要素を、誰もが親しみやすいミニ四駆で体験いただけます。楽しさの中に本格的な産業技術の可能性を発見していただける内容となっています。

デモで体験できること

このデモでは、製造業の DX を支える 3 つの技術を体験いただけます。

図2: IoT ミニ四駆デモの AWS アーキテクチャ構成

1. リアルタイム可視化

ミニ四駆に搭載されたセンサーから、バッテリー電圧、モーター温度、速度、加速度などのテレメトリデータを AWS IoT Core経由でリアルタイム収集し、Amazon Timestream に蓄積します。収集されたデータは Web ダッシュボードで可視化され、まるで F1 マシンのように走行中のミニ四駆の状態が一目で把握できます。

2. AI エージェントによる分析・実況

Amazon Bedrock を活用した AI エージェントが、Amazon Timestream に蓄積されたデータを AWS Lambda 経由で分析し、レースの実況解説を行います。「モーター温度上昇中!限界走行だ!」といった熱い実況から、「バッテリー残量から判断して省エネモードに切り替えます」といった冷静な分析まで、AI が多角的にレース状況を解説します。

3. AI による自律制御

最も注目すべきは、クラウド上の AI エージェントによる自律制御機能です。ミニ四駆自体は判断を行わず、センサーデータを AWS IoT Core に送信し、クラウドからのスロットル制御指令を受け取るだけのシンプルな構成です。一方、クラウド側では Amazon Bedrock の AI エージェントが AWS Lambda 上で動作し、収集されたテレメトリデータを総合的に分析して状況を自律的に判断、最適な制御指令を AWS IoT Core 経由でミニ四駆に送信します。

図3: 本展示のために製作された IoT ミニ四駆

AI エージェントの個性豊かな制御

このデモの特徴的な点は、それぞれのミニ四駆を制御する AI エージェントが異なる「個性」を持っていることです。陽気なギャル系、熱血漢、上品なお嬢様、忠実な執事といった多様なキャラクターの AI エージェントが登場します。

図4: テレメトリのリアルタイム可視化ダッシュボードと AI によるインサイトが流れるチャット画面

これらの AI エージェントは、ミニ四駆から送信される同じテレメトリデータを受け取っても、それぞれの「性格」に応じて異なる判断を下し、個別の制御指令をミニ四駆に送信します。ミニ四駆は単純にその指令に従うだけですが、観客の皆様は AI の多様性と意思決定プロセスを楽しみながら体験できます。

製造業への応用可能性

予知保全

「温度限界チャレンジ」では、意図的にモーター温度を上昇させ、危険レベルに達した瞬間に AI が自動停止を実行します。これは製造現場での設備保護と予知保全の実際の動作を、目で見て体験できる貴重な機会です。

故障診断の自動化

「AI トラブル診断」では、意図的に異常状態を作り出し、AI がテレメトリデータから異常を特定・診断します。横転、スタック、追突など様々なトラブルを AI が瞬時に判断し、適切な対処法を提示します。

データドリブンな自律制御

AI エージェントは 1 分毎にミニ四駆から送信されるテレメトリデータを分析し、比較的曖昧なプロンプトからでも状況を理解して、「全力アタックモード」「省エネモード」「安定走行モード」など、AI が最適と思う制御指令を自律的に生成・送信します。

このデモでは、AWS IoT Core、Amazon Bedrock、AWS Lambda、Amazon Timestream、Amazon API Gateway といった AWS サービスが連携して動作しており、ミニ四駆という親しみやすい素材を通じて、複雑な産業技術を直感的に理解できるよう設計されています。

AWS Summit Japan 2025 でぜひ体験を!

このデモの真の価値は、「楽しさ」を入り口として、本格的な産業技術を体験できることにあります。ミニ四駆という親しみやすい素材を通じて、IoT、AI、リアルタイムデータ処理といった最新技術の可能性を実感していただけます。

AWS Summit Japan 2025(6 月 26 日)の AWS Builders’ Fair で、実際にリアルタイムでデータが可視化される様子、そして AI が自律的に判断を下してミニ四駆を制御する瞬間を、ぜひその目でご確認ください。製造業の DX、IoT の活用、AI による自律制御に興味をお持ちの方はもちろん、単純にミニ四駆が好きな方も楽しめる内容となっています。

イベント後には、より詳細な技術解説ブログも予定しており、実装の詳細や応用事例についてもご紹介する予定です。会場でお待ちしております!

なお本展示の他にも製造業のお客様向け展示がございます。関連ブログをいくつかご案内します。

イベント情報

  • イベント名: AWS Summit Japan 2025
  • 日程: 2025 年 6 月 26 日(Day 2)
  • 場所: AWS Expo の AWS Builders’ Fair 内。詳細はこちら
  • デモ名: IoT ミニ四駆よ! シリコンバレーの風を切れ
  • ブースID: B-082A

皆さまのご来場を心よりお待ちしております。

著者紹介

中西 貴大 (Takahiro Nakanishi)

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト
AWS Japan のソリューションアーキテクトとして製造業のお客様をご支援しています。好きな AWS サービスは AWS IoT Core です。機械も含めてものづくり全般が好きで、自分と同い年の愛車を整備したり、製造業の設計開発領域での AI 活用 – 「身体性」の原理から考える というブログを書いていたりします。

松本 修一 (Shuichi Matsumoto)

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト
アマゾンウェブサービスジャパン合同会社のソリューションアーキテクトです。普段は製造業のお客様のご支援を中心に活動しています。趣味はオンラインゲームで、日々インターネットの向こうにいる仲間たちと冒険に出かけています。

西亀 真之 (Saneyuki Nishigame)

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト
AWS Japan のソリューションアーキテクトとして製造業のお客様をご支援しています。好きな領域は IoT とロボットです。趣味はボルダリングでオフィスにあるボルダリングウォールにトライしています。