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Amazon Connect アップデート まとめ – 2025年6月
こんにちは、Amazon Connect ソリューションアーキテクトの坂田です。2025年5月のアップデートまとめはご覧いただけましたでしょうか。また、6月25日、26日には AWS Summit Japan 2025 が開催されましたが、お楽しみいただけましたでしょうか?大雨が降ったりとっても暑かったりでしたが、二日間ともたくさんのお客様にご来場いただくことができ、大変嬉しく思っております。7月11日までオンデマンド配信中ですので、見逃した方はぜひご視聴くださいませ。
さて、今月は以下の情報をお届けします。皆様のお役に立つ内容があれば幸いです!
- 注目のアップデートについて
- 2025年6月のアップデート一覧
- AWS Contact Center Blog のご紹介
1. 注目のアップデートについて
Amazon Connect アウトバウンドキャンペーンが3つの新しい AWS リージョン(東京リージョン含む)で利用可能に
- Amazon Connect アウトバウンドキャンペーンがアジアパシフィック(ソウル)、アジアパシフィック(東京)、アジアパシフィック(シンガポール)で利用可能になりました。これにより、お客様は適切なチャネルを通じて、カスタマーエクスペリエンス全体を通じて最適なタイミングでリアルタイムのサービスアップデート、プロモーションオファー、製品使用のヒント、予約リマインダーなどの積極的なアウトバウンドコミュニケーションを開始できるようになります。
- Amazon Connect のアウトバウンドキャンペーンは、セグメンテーション、オムニチャネルオーケストレーション、コンテンツのパーソナライゼーション、組み込み分析などの主要な機能を通じて、ターゲットを絞った効果的なアウトリーチ戦略を作成する機能を企業に提供します。アウトバウンドキャンペーンは、予測型および段階的な音声ダイヤリング、AI 駆動の通話分類、コンタクト結果に基づくリトライ戦略、タイムゾーン検出、通信制限をサポートしています。これらの機能により、企業は規制要件と顧客の好みに準拠しながらアウトリーチを最適化できます。さらに、企業はオーディエンスセグメントを微調整し、メッセージテンプレートをパーソナライズし、音声や SMS、メールなどのデジタルチャネルでイベントベースのキャンペーンを開始できます。これらの機能を活用することで、企業は顧客エンゲージメント戦略を大幅に強化し、全体的なコミュニケーションの効果を向上させることができます。
- Amazon Connect のアウトバウンドキャンペーンでは、音声(エージェントまたは自動音声)、Eメール、SMS をサポートしています。
- 音声(エージェント)を選択した場合、プレディクティブとプログレッシブの二つのダイヤルモードを選択することが可能です。
- 「通話の進捗を確認」ブロックを使用することで、顧客への接続状況に応じてフローを分岐させることも可能です。これによって、エージェントの生産性をさらに向上させることが可能です。例えば、「呼び出しが応答された」場合はエージェントにルーティング、「ボイスメール」の場合は「プロンプトの再生」を使ってメッセージを残す。などの分岐が可能になります。
- Amazon Connect アウトバウンドキャンペーンを始めるには、管理者ガイド にそって設定を開始してください。また、AWS Workshop Studio で詳しく学習することも可能です。
- 関連リンク
2. 2025年6月のアップデート一覧
- エージェントのパフォーマンスを評価する際に、サードパーティアプリケーションのエージェント活動を含めることができるように – 2025/06/30
- Amazon Connect で、サードパーティアプリケーションのエージェントアクティビティを Amazon Connect のタスクとして統合できるようになりました。 サードパーティアプリケーション(アプリケーション処理、ソーシャルメディア投稿など)からのアクティビティを Amazon Connect の完了済みタスクとしてプログラムで取り込み、パフォーマンス評価に関連する詳細をタスク属性として記録できます。マネージャーはこれらの外部アクティビティをネイティブのAmazon Connect 上の操作と共に評価し、Amazon Connect のダッシュボード内でエージェントのパフォーマンスを統合的に確認することができます。
- この機能は、Contact Lens のパフォーマンス評価がすでに利用可能なすべてのリージョンで利用できます。
- 関連リンク
- 東京リージョンと大阪リージョン間の Amazon Connect インスタンスのレプリケーションをサポート – 2025/06/30
- Amazon Connect で、アジアパシフィック(大阪)に、アジアパシフィック(東京)環境のチャネル構成とサービスクォータを反映する同期されたインスタンスを維持できるようになりました。アジアパシフィック(大阪)にレジリエンシーインスタンスを設置することで、ユーザー、ルーティングプロファイル、フローなどの Amazon Connect 設定をレプリケートし、トラフィック分散設定を構成して、アジアパシフィック(東京)とアジアパシフィック(大阪)間でユーザーグループと電話番号を事前に定義し、リージョンの切り替え後に新規の着信トラフィックをレジリエンシーインスタンスで処理できるようになります。
- この機能を利用するためには、事前のお申し込みが必要です。AWS のアカウントチーム、テクニカルアカウントマネージャー、または Amazon Connect ソリューションアーキテクトまでお問い合わせください。
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- Amazon Connect アウトバウンドキャンペーンが 3 つの新しい AWS リージョンで利用可能に – 2025/06/26
- 「注目のアップデート」をご参照ください。
- Amazon Connect がアウトバウンドキャンペーンの通信制限を強化 – 2025/06/13
- Amazon Connect アウトバウンドキャンペーンは、複数のキャンペーンにわたって顧客とのエンゲージメント頻度を設定する際により大きな柔軟性を提供する、新しいインスタンスレベルの通信総数制限管理を提供するようになりました。また、重要なキャンペーンについては制限管理をオプトアウトする機能も提供します。これらの新機能により、より効率的でターゲットを絞った顧客エンゲージメント戦略が可能になります。
- 新しいインスタンスレベルの総数制限設定により、企業は米国電話消費者保護法(TCPA)などの規制に準拠しながら、すべてのキャンペーンにわたるアウトバウンド通信制限を管理できます。この機能は通信頻度を一元的に管理する方法を提供し、顧客への過度な連絡を避け、顧客満足度を潜在的に向上させることができます。特定のキャンペーンについてこれらの制限をオプトアウトする機能により、不正警告や悪天候時のサポートなどの重要な通信が最も必要な時に顧客に届くようになり、アウトバウンド通信の全体的な効果を高めます。
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- Amazon Lex、LLM 支援の NLU を使用して会話の精度を向上 – 2025/06/12
- Amazon Lex では、英語とスペイン語のロケールのインテント分類とスロット解決機能を向上させるために、大規模言語モデル (LLM) を利用した自然言語理解 (NLU) が提供されるようになりました。この機能により、大規模言語モデル (LLM) を活用して標準 NLU で問題が発生したときの精度を向上させることができます。これにより、ボットの応答、定義されたインテント、スロットを完全に制御しながら、より自然で耐障害性の高い会話体験を提供できます。例えば、複雑な発話や長い発話の解釈、スペルミスがあっても正確さを維持すること、冗長な入力からスロットを抽出すること、最小限のトレーニングデータでより良い結果が得られること、アクセス許可や統合設定を変更する必要がないなどです。
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- Amazon Connect Customer Profiles が旅行・ホスピタリティ業界向けに対応 – 2025/6/10
- 旅行・ホスピタリティ業界のお客様が、業界固有のソースシステムから Amazon Connect カスタマープロファイルへのデータの取り込みとマッピングをよりシームレスに行い、エンドカスタマーの統合的で包括的なビューを作成できるようになりました。
- 関連リンク
- AWS Contact Center Blog – Your unified view of travelers and guests from Amazon Connect Customer Profiles
- Amazon Connect に統合的な顧客ビューのためのプロファイルエクスプローラーを追加 – 2025/06/09
- Amazon Connect Customer Profiles の統合的でカスタマイズされたビューにアクセスできる新機能、プロファイルエクスプローラーを提供開始しました。この直感的なインターフェースにより、組織はすべての接点で顧客をより良く理解し、エンゲージメントを図ることができ、顧客情報、対話履歴、AI によるインサイトへのリアルタイムユーザーアクセスを提供することで、既存の Amazon Connect Customer Profiles サービスを強化します。
- プロファイルエクスプローラーを使用することで、ユーザーはメール、電話番号、予約参照番号など、複数の識別子を同時に使用してエンドカスタマーをリアルタイムで検索し、見つけることができます。カスタマーサービスチームは、人口統計データ、コミュニケーション履歴、行動パターン、セグメントメンバーシップなど、特定のニーズに最も関連性の高い情報を強調表示するようにビューをカスタマイズできます。プロファイルエクスプローラーはまた、主要なパターンを強調し、パーソナライズされた行動インサイトを提供する AI が生成する顧客サマリーを提供し、組織が顧客体験を改善しロイヤルティを促進するためのデータ駆動型の意思決定を支援します。
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- Amazon Connect Customer Profiles の計算属性を強化 – 2025/06/09
- Amazon Connect Customer Profiles は、タイムスタンプコントロール、過去データのバックフィル、および改善された制限を備えた強化された計算属性を提供し、企業が顧客データを実用的なインサイトに変換できるようになりました。顧客は今後、将来の日付のイベントを含むデータにタイムスタンプを指定し、制限が拡大された状態で過去のデータ情報を処理できるようになりました。Amazon Connect Customer Profiles は、エンジニアリングリソースを必要とせずに、顧客の行動データ(連絡、注文、ウェブ訪問など)を、プロアクティブなアウトバウンドキャンペーン、動的ルーティング、IVR のパーソナライズを推進するための顧客の優先チャネルなどの実用的なインサイトに変換する計算属性を提供します。新機能により、顧客は計算に使用されるタイムスタンプを制御し、取り込み順序に関係なく適切な時系列順序を確保することで、より正確で関連性の高い計算属性を作成できるようになりました。新しい過去データ計算機能により、新しい属性を作成する際に以前に取り込まれたデータが自動的に含まれ、顧客エンゲージメントに関する有意義なインサイトを得るための待ち時間が不要になります。これらの機能強化により、今後の予約の追跡、長期的な顧客行動パターンの分析、顧客生涯価値の評価、顧客とのやり取りの前にエージェントが関連するコンテキストを準備できることを確保するなど、高度なユースケースが可能になります。
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- Amazon Connect のマルチパーティコールの保留時間追跡を強化 – 2025/06/06
- Amazon Connect は、コンタクトレコードの新しいエージェント開始保留時間フィールドを通じて、マルチパーティ通話シナリオにおける個々のエージェントが開始した保留の時間を追跡できるようになりました。この新しいフィールドにより、コンタクトセンターのマネージャーは、顧客とのやり取り中の個々のエージェントレベルでの保留パターンについてのインサイトを得ることができます。
- 関連リンク
- Amazon Connect の外部音声転送が 5つの追加 AWS リージョンで利用可能に – 2026/06/05
- Amazon Connect の外部音声転送が、アジアパシフィック(シドニー)、アジアパシフィック(東京)、カナダ(中部)、ヨーロッパ(フランクフルト)、ヨーロッパ(ロンドン)の AWS リージョンで利用可能になりました。外部音声転送により、Amazon Connect から公衆電話網を使用せずに、音声通話とメタデータを他の音声システムに直接転送できます。これにより、既存の音声システムの手前で Amazon Connect の電話機能とインタラクティブ音声応答(IVR)を使用することができ、顧客体験の向上とコスト削減に役立ちます。
- 関連リンク
3. AWS Contact Center Blog のご紹介
- 組織全体で Amazon Connect のフロー操作を監査する方法 (日本語翻訳記事)
- コンタクトセンター運営における包括的な監査証跡の取得と一元的な可視性の維持は、セキュリティ、コンプライアンス、および運用のベストプラクティスの観点で重要です。以前のブログ記事「AWS CloudTrail と Amazon Athena による組織内の Amazon Connect API アクティビティの調査」では、お客様が AWS CloudTrail と Amazon Athena を活用して、Amazon Connect のコンタクトセンター環境の中で行われる様々な API 呼び出しの可視性と監査可能性を実現する方法について説明しました。これは、組織がコンタクトセンター運営の監視および調査をできるようにするための重要な第一歩でした。Amazon Connect は、さらに一歩進んだ AWS CloudTrail サポートとして、Amazon Connect コンソールのフロー管理ページのアクティビティに対応しました。これは、ユーザーがフローを追加、更新、または削除するたびに、そのアクティビティの記録が CloudTrail ログに取得されることを意味します。この新機能により、コンタクトセンターチームはさらなる可視性、レポーティング、およびコンプライアンスの利点を得ることができます。この、続編となるブログ記事では、お客様が AWS 環境全体で Amazon Connect のフロー管理のアクティビティを一元的に分析および監査する方法について、より詳しく説明します。
- The future of customer service is here: From contact centers to experience hubs (英語記事)
- Amazon Connect は、従来のコンタクトセンターを AI を活用した体験ハブへと変革し、カスタマーサービスでのやり取りを革新しています。このプラットフォームは 1日 1,000万件以上のコンタクトセンターでのやり取りをサポートし、単なる問題解決ではなく、意味のある関係構築に重点を置いています。この変革は、受動的な問題解決から積極的な顧客エンゲージメントへの転換を表しており、人間の共感と AI の知能を組み合わせて、大規模なパーソナライズされた体験を提供します。このブログではこうした変革を実現するための要点と実例をご紹介します。
- Your unified view of travelers and guests from Amazon Connect Customer Profiles (英語記事)
- Amazon Connect Customer Profiles は、旅行・ホスピタリティ企業向けに、よりパーソナライズされた顧客体験を提供するための新しい業界特化型機能を発表しました。この解決策は、75 以上のソースからのデータを自動化されたプロセスで統合し、旅行者やゲストの統合的なビューを提供することで、断片化した顧客データの課題に対応します。このサービスには、旅行・ホスピタリティのユースケース向けに事前設定されたデータモデルが含まれており、実用的な洞察を生み出し、顧客行動を予測するための生成 AI 機能で強化されています。このブログでは、旅行会社やホスピタリティ企業が Amazon Connect Customer Profiles を使用して、旅行者とゲストの統一されたプロファイルを作成し、マーケティングキャンペーン、パートナーシップ、測定のためのデータコラボレーションを改善し、生成 AI を使用してよりパーソナライズされたエンゲージメントとサービスを提供する方法について説明します。
今月のお知らせは以上です。皆さんのコンタクトセンター改革のヒントになりそうな内容はありましたでしょうか?ぜひ、実際にお試しいただき、フィードバックをお聞かせ頂けますと幸いです。
シニア Amazon Connect ソリューションアーキテクト 坂田 陽一郎