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2023 戸田建設株式会社

戸田建設、IT 内製化に向け AWS の実践型トレーニングに参加。社内開発のスキルを高めて DX を加速

建設業

概要

建設業として企画からコンサルティング、設計、施工、運用までトータルに手掛ける戸田建設株式会社。新たな価値の創造や社会課題の解決に取り組む同社は、ビジネス環境の変化に対応するため、2020 年に DX 推進室を立ち上げ、社内公募でシステム内製人材の育成に乗り出しました。現在はさまざまな部門から集まった人材が、アマゾン ウェブ サービス(AWS)が実施するトレーニングを活用してシステム内製スキルを高め、現場のさまざまな課題解消に取り組んでいます。

A group photo of five team members from Toda Kensetsu standing together in business attire in an office setting, used for an AWS solution case study.

課題・ソリューション・導入効果

課題

社内のデジタル人材を育成してビジネスの変化に対応

学校、病院やオフィスビル、トンネルなど、品質と安全性に優れた建造物やサービス提供を通じ、社会の発展に貢献する戸田建設。2021 年に創業 140 年を迎え、2024 年竣工の新本社ビル『TODA BUILDING』では、東京・京橋の特性を活かした芸術・文化拠点の創出など、地域の価値を高める開発を行っています。近年では脱炭素社会の実現を目指し、再生可能エネルギー事業として浮体式洋上風力発電事業も展開しています。

さらに同社は提供価値の向上に向け、デジタル活用に着目。2020 年に ICT 統轄部内に DX 推進室を新設して、社内の DX 推進に加え、業務システムや TODA BUILDING で利用するサービスを開発する人材の育成に乗り出しました。

「従来の社内システムは外部に開発を依頼するか、すでにある製品をカスタマイズしていましたが、DX 推進室は自ら手を動かして開発しようとしています。デジタルで新しい価値を生み出すには試行錯誤が必要で、それを外部に依頼していては時間とお金がかかりすぎるため、社内での開発が必要と考えました」と語るのは、DX 推進室室長の佐藤康樹氏です。

同社では、さまざまな事業部門で活躍する社員を選抜し、デジタルスキルを身につけるリカレント教育を実施しています。その一環として 2021 年 6 月に参加したのが、AWS が提供する内製化支援プログラム「ANGEL Dojo for エンドユーザー with AWS パートナー(以下、ANGEL Dojo)」です。複数の企業が 4 ~ 6 名のチームで参加し、3 か月間でサービスの企画とプロトタイプ作成を行い、AWS を活用したチーム開発を体験できるものです。

「当社は複数のクラウドサービスを利用していますが、AWS 担当者の方が親身になって人材教育について紹介してくれたため、参加を決めました」(佐藤氏)

同社のチームは現場の備品を再利用するプラットフォームを企画・開発し、ANGEL Dojo において ANGEL 賞とベストアーキテクチャ賞の 1 位を獲得します。その後、ANGEL Dojo を支援していた AWS パートナーの株式会社 Serverless Operations に内製化支援を依頼することにしました。

「当社内の要件がまだ固まっていない曖昧な状況でも、幅広い技術を持ち、フランクに相談に乗ってくれたのが Serverless Operations でした」と DX 推進室 主任の宮崎孝一氏は語ります。

ソリューション

フルマネージド・サーバーレス構成のシステム開発スキルを獲得

同社のデジタル人材育成は、事業部門から選抜した人材を DX 推進室のメンバーに加え、デジタルスキルを習得させた後、半数を事業部門に戻す仕組みとなっています。ANGEL Dojo 参加の後、DX 推進室には新たなメンバーが 10 名加わり、2021 年12 月には AWS のデジタルイノベーションプログラム(DIP)に参加。DIP は Amazon 独自の顧客起点のサービスデザイン手法を学び、AWS のフレームワークを利用したワークショップの後にサービスを作るというプログラムで、参加メンバーはここで社内向けの DX ポータルサイト『DX-Terminal』を開発しました。Serverless Operations の技術支援のもと、フロントエンドにはコンテンツ配信ネットワークの Amazon CloudFront とオンラインストレージサービスの Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)、WebAPI にはイベント駆動型コンピューティングサービスの AWS Lambda、フルマネージドデータベースの Amazon DynamoDB という組み合わせで、サーバーレスアーキテクチャで構築しました。

以前の業務で建築構造設計に携わっていた DX 推進室 主任の栗本耕太郎氏は「認証には Amazon Cognito を使い、セキュリティのために AWS WAF を使うなど、サービスを追加して組み合わせていくことを学びました。私たちが作るシステムは、維持費などでもメリットのある、フルマネージドでサーバーレスな構成を基本としています」と語ります。

建設現場のための施工計画の支援をしていたという DX 推進室 主任の宮路寛人氏は「DIP 参加前にもプログラミングの学習はしていましたが、DX ポータルサイトの構築を通じて、教材の学習と実際にサービスを作る上での違いを学び、DX 推進に向けた第一歩を踏み出すことができました」と振り返ります。

導入効果

すぐに試せる環境と、パートナーの支援で内製化が急速に進展

DIP に参加したメンバーは、複数のチームに分かれて支店や現場レベルでの課題をヒアリングし、それらを解決するソリューションを開発。その 1 つが土木工事の作業所で外部企業にさまざまな業務を依頼するためのプラットフォーム『ToLabel (トラベル)』です。メールを中心としてやりとりしていた情報を Web サービスに集約することで、コミュニケーションを円滑にし、業務の効率化に役立っています。

また、他にもさまざまな業務支援のためのツール開発を継続的に行っています。「現場業務効率化のため、紙書類の転記業務をデジタル化するサービスを開発しました」と語るのは、土木工事作業所の施工管理を行う部署から異動した DX 推進室 主管の富江正英氏です。

DX 推進室のメンバーが作るソリューションは、特定の作業所での試用から改善を重ね、順次利用部門を拡大しています。会社として AWS 認定資格取得も推奨しており、各種ソリューションの充実につながっています。デジタル人材教育の効果について佐藤氏は、「予想以上のスピードで、たくさんの内製化プロジェクトが進んでいます。当社の中でも DX 推進室に対して見る目が変わり、いろいろな部署から相談が来るようになっています」と手応えを語ります。メンバーが働きやすい環境の整備に注力したいという宮崎氏は「皆、急速にレベルアップしています。すぐに試せる AWS の環境に加え、Serverless Operations から質問に対して素早く、明確な回答をいただけることも急速な学びのサイクルにつながっています」と語ります。

社内公募によるリカレント教育を通して DX 推進室選抜を行うという戸田建設の取り組みは、3 年を一区切りとしており、2 期生の計画も始まっています。選抜メンバーの半分は事業部門に戻る予定となっていますが、DX 推進室との関係を継続し、内製化のネットワークを最前線まで広げようと考えています。佐藤氏は今後の展望について「今はリモートでも一緒にプロジェクトを進められるので、現場の最前線の課題を見つけ、一緒に解決する形にしていきたいです。Serverless Operations には今後も支援をお願いしたいです」と語っています。

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予想以上のスピードで、たくさんの内製化プロジェクトが進んでいます。当社の中でも DX 推進室に対して見る目が変わり、いろいろな部署から相談が来るようになっています

佐藤 康樹 氏

戸田建設株式会社 ICT 統轄部 DX 推進室 室長

アーキテクチャ図

A system architecture diagram illustrating Toda Kensetsu's use of various AWS cloud services, including Amazon S3, Amazon Cognito, AWS Lambda, Amazon SES, AWS Direct Connect Gateway, Amazon RDS, API Gateway, Amazon CloudFront, Amazon Route 53, and AWS WAF, with component interactions and service integrations annotated in Japanese.

戸田建設株式会社

建築一式工事、土木一式工事、地域開発、都市開発などに関する総合的エンジニアリングおよびコンサルティング業務を展開する戸田建設株式会社。その他戦略事業として、不動産事業、再生可能エネルギー事業なども手掛けている。2031 年の創業 150 周年に向け、建物の機能価値だけでなく、体験価値向上や社会課題の解決に貢献する、「価値のゲートキーパー」として、協創社会の実現を目指している。

取組みの成果

  • 社内人材のデジタルスキル向上
  • 内製化で社内の課題を迅速に解決
  • マネージドサービスで運用負荷軽減

株式会社 Serverless Operations

AWS セレクトティア サービスパートナー

AWS を活用したアプリケーション開発を主軸に、内製化・開発支援に豊富な実績を持つ AWS パートナー。お客様のチームと協働でプロジェクトを進めその過程でスキルセットをトランスファーすることで、自走可能なチームを構築することを目指している。特にサーバーレスを中心としたモダンなクラウドテクノロジーに強みがあり、お客様がより競争力のあるプロダクトを開発し事業拡大を実現できるよう支援している。

Logo for Serverless Operations featuring a stylized 'S' and the text 'Serverless Operations' in blue.

本事例のご担当者

佐藤 康樹 氏

Portrait of Sato Yasuki from Toda Kensetsu, featured in an AWS solution case study. The individual is wearing glasses and a business suit, seated indoors with a plant and window blinds in the background.

富江 正英 氏

Portrait photograph of Masahide Tomie in a business suit, featured in the Toda Kensetsu case study. The person is seen against an office background with blinds and plants.

宮路 寛人 氏

Portrait of a man in a light shirt, standing indoors in front of blinds and green plants. This image appears to be used for a case study related to Toda Kensetsu Miyaji Hiroto.

栗本 耕太郎 氏

Portrait of Kotaro Kurimoto from Toda Kensetsu, used for a case study on the AWS Japan website.

宮崎 孝一 氏

Portrait of Miyazaki Kouichi, speaker for Toda Kensetsu case study, wearing a suit and standing in an office setting with plants and window blinds in the background.