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2024 Japan AWS Jr. Champions 活動レポート
皆様、こんにちは!AWS Partner Solutions Architect (PSA) で Japan AWS Jr. Champions の Lead をしている Yukki と、同じく PSA で同プログラムの運営に携わっている本山です。
本日は 2024 Japan AWS Jr. Champions (以下 Jr. Champions) の 1 年間の活動についてご紹介します。2023 年に創設された Jr. Champions は 2024 年に 2 年目を迎えました。Jr. Champions として選出された若手エンジニアの皆さんは、AWS がリードする活動と自発的に企画・運営する活動の両方で、1 年間を通じて多岐にわたる取り組みを展開して AWS コミュニティの発展に貢献しました。
Jr. Champions とは
Jr. Champions は、AWS Partner Network (APN) 参加企業に所属する社会人歴 1~3 年目の若手エンジニアの中から、突出した AWS 活動実績を持つメンバーを表彰する日本独自のプログラムです。AWS を積極的に学び、自らアクションを起こし、周囲に影響を与えている若手エンジニアを AWS が選出しコミュニティを形成することで、次世代の AWS エンジニアの育成と活躍の場を提供しています。
2024 年度の活動実績
2024 年 4 月から 2025 年 3 月までの 1 年間の Jr. Champions の活動を集計した結果は以下の通りです。
イベント活動実績
- 総イベント数:167 回 (Jr. Champions が運営に関わった、または登壇したイベントの数)
- Jr. Champions 限定イベント:92 回
- 外部イベント登壇・運営 :67 回
- その他:8 回
- 外部イベント参加者数:累計 5,682 名
アウトプット実績
- 総アウトプット件数:1,075 件 (前年比 20 %以上増加)
これらの数字から、Jr. Champions が継続的にイベントに参加し、登壇に加えて社内 Blog での発信、さらには Qiita 等への投稿によるアウトプットを多数行っていることがわかります。特に Jr. Champions が企画・登壇・運営までを担った外部イベントへの参加者は 5,000 名を超えており、Jr. Champions の活動が多くの方に届いていることが確認できます。
Jr. Champions Meetup の活動内容
Jr. Champions Meetup は、AWS 主催で毎月開催する Jr. Champions 限定のコミュニティイベントです。インプットとアウトプットの場として、様々な内容で実施しました。
2024 年度の主な活動:
- 5 月:Pre Kickoff
- 7 月・8 月:Lightning Talk (LT) 大会、プレゼンテーションセミナー
- 10 月:AWS DeepRacer – Jr. Champions Cup
- 11 月:Networking with Ex – Jr. Champions
- 2 月:Web 3 Tier Real Time Attack (RTA) ワークショップ
- 4 月:Last LTs
このように複数の LT 大会やプレゼンテーションセミナーの開催を通し、アウトプットスキルの向上をめざしています。
10 月には、AWS の機械学習サービス AWS DeepRacer を用いた自動運転モデルの最速を競う AWS DeepRacer – Jr. Champions Cup を開催しました。NHNテコラス株式会社の黃 昞勳 氏が圧巻の走りで優勝し、機械学習サービスを活用した技術力の高さを示しました。
また 2 月には Web 3 Tier RTA ワークショップを開催しました。以下にその概要を記載します。
RTA ワークショップの概要
ワークショップでは個人戦でスコアを競いました。採点項目を設けて、「Well-Architected に則ったセキュアなアーキテクチャができているか」という点と「実装までの速さ」これらの 2 軸で競うイベントとなっています。
RTA ワークショップで扱うコンテンツには、AWS パートナー企業向けに提供しているトレーニングコンテンツである「実践力を鍛える Bootcamp 〜Web サイト設計実装編〜」を採用しました。本来は 2 日間に渡って実施される本コンテンツですが、半日 5 時間に詰め込んだとてもタイトなイベントを Jr. Champions に体験いただきました。以下にコンテンツの概要を記載します。
実践力を鍛える Bootcamp 〜Web サイト設計実装編〜 とは
実践力を鍛える Bootcamp は、さまざまなシナリオが用意された課題解決型のワークショップです。参加者はチームメンバーと一緒に、一時的に払い出された AWS の環境を利用して技術的課題の解決に取り組みます。架空のお客様から頂いた提案依頼書 (RFP) を元に、どのようなアーキテクチャで構成して実装するかを検討し、擬似プロジェクトを体験するワークショップとなっています。
その中でも今回実施した Web サイト設計実装編は「オンプレミスで Web サイトを運用している架空の企業が、クラウドにリホストしたい」というシナリオの構成となっています。参加者は、オンプレミスで構成されている Web サーバーや DB サーバーの将来的な拡張性、運用保守の管理性、セキュリティ面の向上を目的に、設計したアーキテクチャをクラウド上で構築して移行作業を行います。
2 日間のトレーニングのうち、1 日目の午前中は座学を実施します。実装にあたっての Well-Architected を学び、同日午後にアーキテクチャをチームで考えます。その後、AWS 環境下で実装して動くアプリケーションを作っていきます。
最終結果
当日は 36 人の Jr. Champions の方が集まり、大盛況の下 RTA ワークショップが開催されました。
制限時間が約 5 時間の RTA ワークショップの中で、見事上位のタイムで完了された 3 名の Jr. Champions の方をご紹介します。
- 第 1 位:NRIネットコム株式会社 梅原 航 氏 (3 時間 2 秒)
- 第 2 位:SCSK株式会社 蛭田 悠介 氏
- 第 3 位:株式会社Finatext 小林 拓磨 氏
21 の内部コミュニティによる自発的活動
内部コミュニティとは、Jr. Champions 自身が主体となって形成する様々なグループを意味します。2024 年度の内部コミュニティは 21 グループとなり、AWS PSA の支援の元でそれぞれが独自のテーマで活動を展開しました。以下が主な内部コミュニティの活動例です。
- 書籍執筆チーム:技術書の出版プロジェクト
- 学生向け活動チーム:専門学校での講演
- 九州支部・関西コミュニティ:地域密着型のイベント開催
- IaC/CDK イベントコミュニティ:Infrastructure as Code の啓蒙・実践活動
- AWS Well-Architected Framework Boot Camp:アーキテクティングを通したベストプラクティスの学習
これらのコミュニティは勉強会だけでなく、実際に教育機関での講演やワークショップの開催など、具体的な成果を生み出しています。またコミュニティ以外でも、Jr. Champions 所属会社同士での共催イベントの開催も数多く行われました。
外部イベントでの活動
Jr. Champions は JAWS-UG を始めとする外部イベントでも積極的に登壇し、知見を共有しました。以下が主な外部イベントでの活動例です。
- Qiita Engineer Festa 2024:457 名参加の大規模イベントで登壇
- 若手エンジニア応援 LT 会:JAWS-UG 東京とのコラボレーション
- JAWS FESTA/JAWS DAYS:JAWS-UG 大型イベントに登壇
- IaC Summit:Infrastructure as Code の実践知識を共有
- AWS Partner 4 社による re:Invent 振り返り座談会:re:Cap イベントを企画運営
これらの活動を通じて、累計 5,682 名の方に Jr. Champions の知見が届けられました。
2024 Jr. Champions of the Year
Jr. Champions の中でも特に 1 年間を通じて周りに影響を与え、コミュニティ全体をリードした方を Jr. Champions of the Year として表彰しています。これは、Jr. Champions 全員による投票で選出しています。2024 年度の Jr. Champions of the Year には株式会社サーバーワークスの日高 僚太 氏が選出されました。
日高氏は活動早期から積極的にリーダーシップを発揮し、様々なコミュニティの立ち上げと運営をリードされました。その主体性と行動力は、Jr. Champions が目指す「自らアクションを起こし、周囲に影響を与える」姿を体現しています。
プログラムの効果
Jr. Champions プログラムは、若手エンジニア、AWS パートナー企業の双方に様々な効果をもたらしていると考えます。
若手エンジニアには、「同世代の優秀なエンジニアとのネットワーク構築」「多様なイベントでの登壇機会」「最新技術の学習機会」「リーダーシップスキルの実践的な習得」「コミュニティでの積極的な活動によるモチベーション向上」といった効果が期待されます。
そして AWS パートナー企業には、「技術力とコミュニケーション能力の育成機会の提供」「企業ブランディングへの貢献」「若手社員のリテンション」といった効果に繋がると考えています。
まとめ
2024 Japan AWS Jr. Champions は、167 回のイベント開催、5,682 名への影響、1,075 件のアウトプットという実績を残しました。重要なのは、若手エンジニアが主体性を持って行動し、お互いに刺激し合いながら成長したことです。
2025 年度も新たな Jr. Champions と共に、AWS の技術力だけでなくオーナーシップを持った次世代のエンジニアを育成する場として、この活動をさらに広げていきます。AWS パートナー企業の皆様も、若手エンジニアの活動を引き続きぜひ応援してください。