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週刊生成AI with AWS – 2025/6/16 週

みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの野間です。いよいよ今週 AWS Summit Japan が幕張メッセで開催されます。参加が初めての方、こちらに初めてでも楽しめるAWS Summit Japan ガイド が公開されていますので是非チェックしてみてください。Summit では生成AI関連では AIエージェント をテーマとしたハッカソンが企画されています。多数の応募チームの中から選出された14組がAIエージェントを使ったハッカソンで競い合います。審査員として QuizKncok 伊沢拓司氏、鶴崎修功氏も登場しますので楽しみです。ちなみに私もExpoエリアのブースに立っておりますので見つけた方は声かけてください。
では今週も生成 AI with AWS界隈のニュースを見ていきましょう!

さまざまなニュース

  • AWS生成AI国内事例ブログ「株式会社フレイ・スリー様の AWS 生成 AI 活用事例:Amazon Bedrockを活用し、企業の動画活用における課題特定と解決策提示の自動化機能を構築。サポート部門の業務効率化を実現。」
    株式会社フレイ・スリー様は、AI動画生成配信プラットフォーム「1ROLL」を提供する企業として、Amazon Bedrock を活用した新しい機能開発に取り組みました。動画マーケティングにおいて、制作後の運用面での課題に着目し、Amazon Bedrock Claude3.5 Sonnet v2 と Knowledge Bases を組み合わせたソリューションを構築。これにより、動画の視聴データを自動で分析し、わずか15秒で課題の特定から解決策の提示までを完了できるようになりました。この取り組みにより、サポート部門の業務効率が大幅に改善され、顧客は自身で動画活用の改善サイクルを回すことが可能になりました。
  • ブログ記事「Amazon Q Developer の IDE で Model Context Protocol を使用し、コンテキストに応じた開発プロセスを実現する」
    Amazon Q Developer に新たに追加されたModel Context Protocol (MCP) のサポートにより、開発者の作業効率が大幅に向上します。MCP を通じて Jira や Figma などの外部ツールと直接連携することで、開発者は IDE からプロジェクト管理やデザインツールの情報にシームレスにアクセスできるようになります。例えば、Jira のタスクから Figma のデザイン仕様まで、必要な情報を自動的に取得し、コンテキストを維持したままコーディング作業を進めることができます。これにより、ツール間の行き来や情報のコピー&ペーストといった手作業が不要になり、開発プロセス全体が効率化されます。さらに、タスクの進捗更新やコメント追加などもIDE内から直接実行できるため、開発者は本来の作業に集中できる環境が整います。スクリーンショット付きで分かりやすくまとめているので是非チェックしてみてください。
  • ブログ記事「GENIAC プログラムから学んだ基盤モデル構築支援の教訓」
    AWSはGENIAC第2期において、12の事業者に対して大規模な計算リソースと技術支援を提供しました。具体的には、127台のAmazon EC2 P5インスタンスと24台のTrn1インスタンスをデプロイし、6ヶ月にわたる基盤モデル開発を支援しました。支援の要となったのは、クロスファンクショナルなチーム体制、効果的なコミュニケーション戦略、そして事前検証済みのリファレンスアーキテクチャの提供です。さらに、詳細なデプロイメントガイドとワークショップを通じて知識共有を行い、参加企業が効率的に基盤モデル開発に取り組める環境を整備しました。この取り組みから、基盤モデル開発は単なるハードウェアの問題ではなく、組織的な課題であることが明らかになりました。また、適切なサポート体制と再現可能なテンプレート、チーム間の効果的な連携があれば、小規模なチームでも大規模な基盤モデル開発が実現可能であることも実証されました。
  • ブログ記事「AWS 環境の可視化を加速する Diagram-as-code とAmazon Bedrockの活用」
    AWS のインフラ構成を可視化する際、多くの組織では構成図の作成・更新に多大な労力がかかっているのが現状です。本記事では、Amazon Bedrock と Diagram-as-code を組み合わせることで、この課題を解決する新しいアプローチを紹介しています。Diagram-as-code は、CloudFormation テンプレートなどの構造化されたテキストからアーキテクチャ図を自動生成できるツールです。これに Amazon Bedrock を組み合わせることで、ユーザーの自然言語での要件を理解し、データフローやセキュリティ境界といった CloudFormation テンプレートには含まれていない要素も含めたアーキテクチャ図を効率的に生成できます。 この手法は、中間ファイルを生成してから図を作成するアプローチを採用しており、生成された図の修正が容易で、かつ中間ファイルの検証が可能という利点があります。また、CIパイプラインへの組み込みも容易で、システムの変更に応じて自動的に最新の構成図を維持することができます。
  • ブログ記事「Amazon Novaを使用した会議の要約とアクションアイテムの抽出」
    このブログ記事では、Amazon Novaファミリーの各理解モデルを使用して、会議の要約とアクションアイテムを自動的に抽出する方法について解説しています。Amazon Novaモデルは、Nova Micro(テキストのみ)、Nova Lite(マルチモーダル)、Nova Pro(速度と知能のバランス)、Nova Premier(最高性能)の4つのレベルで構成されており、Amazon Bedrockを通じて利用可能です。評価実験では、QMSumデータセットを使用して各モデルのパフォーマンスを検証し、Nova Premierが最も高い忠実度スコアを達成しましたが、より小規模なモデルでも十分な性能と高速な処理時間を実現できることが示されました。このソリューションにより、企業は会議の内容を効率的に構造化された形式で記録・活用でき、特にプロジェクト管理、カスタマーサポート、法務やコンプライアンスなどの分野で大きな価値を提供します。各モデルのスコアと処理速度の比較がされており、モデル選択の参考になると思います。

サービスアップデート

  • 欧州(ロンドン)リージョンのAmazon Bedrock で Anthropic Claude 3.7 Sonnet が利用可能に
    欧州(ロンドン)リージョンで Claude 3.7 Sonnet が利用可能になりました。このモデルの特徴は、迅速な応答と詳細な思考プロセスの両方を提供できる点です。標準モードと拡張思考モードを備え、ユーザーは用途に応じて処理時間と回答の質のバランスを調整できます。コーディングや数学、物理学など幅広いタスクで高いパフォーマンスを発揮し、トークン制限によるコスト管理も可能です。
  • P5 および P5en インスタンス向けの1年間の EC2 Instance Savings Plan が利用可能に
    EC2 の GPU 搭載インスタンスである P5 および P5en インスタンスに対して、1年間の EC2 Instance Savings Plan の提供が開始されました。このプランを利用することで、オンデマンド料金と比較して最大40%のコスト削減が可能となります。従来は3年間の契約のみでしたが、より柔軟な1年間の選択肢が追加されたことで、ビジネスニーズに合わせて最適な期間を選択できるようになりました。特に生成AIやディープラーニングの開発・運用を行うユーザーにとって、NVIDIA H100 Tensor Core を搭載した P5 インスタンスの Savings Plan は大規模なAIモデルのトレーニングや推論処理をより費用対効果の高い方法で実行することが可能になり、AI開発プロジェクトの期間が1年程度の場合でも、コスト最適化の恩恵を受けることができるようになります。

今週は以上です。それでは、また来週お会いしましょう!

著者について

Aiichiro Noma

野間 愛一郎(Aiichiro Noma)

AWS Japan のソリューションアーキテクトとして、製造業のお客様を中心に日々クラウド活用の技術支援を行なっています。データベースやデータ分析など、データを扱う領域が好きです。最近、麻辣醤にハマっています。