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Kiro CLI 新機能まとめ : v1.21.0 から v1.23.0

新年あけましておめでとうございます。ソリューションアーキテクトの konippi です。

Kiro CLI は、2025 年 11 月から 12 月にかけて、v1.21.0・v1.22.0・v1.23.0 と立て続けにアップデートがリリースされました。Web 検索機能、コードインテリジェンス、サブエージェント、Plan エージェントなど、開発体験を大きく向上させる機能が追加されています。Kiro についてまだご存知でない方は「Kiroweeeeeeek in Japan 開催のお知らせ」を読んでいただけますと幸いです。また、Kiro のアップデートは Changelog よりご確認ください。

本記事では、これら 3 つのバージョンで追加された主要機能をまとめて紹介します。

v1.21.0

Web 検索・取得機能

Kiro CLI がインターネットからリアルタイムで情報を取得できるようになりました。最新のライブラリバージョン、ドキュメント、技術的な問題の解決策などを、ブラウザに切り替えることなく開発ワークフロー内で直接検索できます。

主な用途

  • 最新のライブラリドキュメントの参照
  • 技術的な問題の解決策の検索
  • API の最新仕様の確認

使い方

# エージェントが自動的に Web 検索を実行
> React 19 の新機能について調べて教えてください

Web 検索機能により、開発中に必要な情報をその場で取得でき、開発フローが中断されることがなくなります。

v1.22.0

コードインテリジェンス機能

v1.22.0 で追加された機能の 1 つは、Language Server Protocol (LSP) 統合による強力なコードインテリジェンス機能です。Kiro IDE と同等のコード理解能力がターミナルで利用できるようになりました。

組み込み機能(セットアップ不要)

インストール直後から以下の機能が利用可能です:

対応言語:
Bash, C, C++, C#, Elixir, Go, Java, JavaScript, Kotlin, Lua, PHP, Python, Ruby, Rust, Scala, Swift, TSX, TypeScript

主な機能:

  • シンボル検索 : コードベース全体から関数、クラス、変数を検索
  • 定義へのジャンプ : シンボルの定義箇所へ即座に移動
  • パターン検索 : AST ベースの構造的コード検索
  • パターン書き換え : AST パターンを使った自動コード変換
  • コードベース概要 : プロジェクト構造の即座の把握
# コードベース全体の概要を取得
> /code overview

# より簡潔な出力
> /code overview --silent

LSP 統合(オプション)

さらに高度な機能が必要な場合は、LSP サーバーを統合できます:

# プロジェクトルートで初期化
> /code init

これにより、参照検索、リネームリファクタリング、診断情報、コード補完などの機能が追加されます。

自然言語でのクエリ例:

> UserRepository クラスを見つけて
> s3Client で使えるメソッドは?

LSP サーバーは自動的に検出・起動され、ワークスペースごとに .kiro/settings/lsp.json で設定が管理されます。

対応言語と Language Server

言語 拡張子 Language Server インストールコマンド
TypeScript/JavaScript .ts, .js, .tsx, .jsx typescript-language-server npm install -g typescript-language-server typescript
Rust .rs rust-analyzer rustup component add rust-analyzer
Python .py pyright npm install -g pyright または pip install pyright
Go .go gopls go install golang.org/x/tools/gopls@latest
Java .java jdtls brew install jdtls (macOS)
Ruby .rb solargraph gem install solargraph
C/C++ .c, .cpp, .h, .hpp clangd brew install llvm (macOS) または apt install clangd (Linux)

カスタム Language Server の追加

上記以外の言語を使用する場合、.kiro/settings/lsp.json を編集してカスタム Language Server を追加できます:

{
  "languages": {
    "mylang": {
      "name": "my-language-server",
      "command": "my-lsp-binary",
      "args": ["--stdio"],
      "file_extensions": ["mylang", "ml"],
      "project_patterns": ["mylang.config"],
      "exclude_patterns": ["/build/"],
      "multi_workspace": false,
      "initialization_options": { "custom": "options" },
      "request_timeout_secs": 60
    }
  }
}

編集後、Kiro CLI を再起動して設定を反映してください。

※ コードインテリジェンス機能はワークスペース単位で設定されます。各プロジェクトで独立して管理されるため、プロジェクトごとに /code init を実行する必要があります。

Knowledge Management 機能

Knowledge Management 機能により、プロジェクト固有のドキュメントやコードベースを永続的な知識ベースとして管理できるようになりました。この機能は Experimental 機能であり、使用前に有効化が必要です。

2つのインデックスタイプ:

  • Fast (Lexical – BM25) : 高速なキーワードベース検索。ログファイルや設定ファイルに最適
  • Best (Semantic – all-minilm-l6-v2) : 意味を理解するセマンティック検索。ドキュメントや研究論文に最適

基本的な使い方

# 機能を有効化
$ kiro-cli settings chat.enableKnowledge true

# ディレクトリをインデックスに追加
$ /knowledge add --name "project-docs" --path /path/to/documentation

# セマンティック検索を使用
$ /knowledge add --name "api-docs" --path /path/to/docs --index-type Best

# パターンフィルタリング
> /knowledge add --name "rust-code" --path /path/to/project \
  --include "*.rs" --exclude "target/*"

# ナレッジベースを確認
> /knowledge show

エージェント別の独立した知識ベース

各エージェントは独自の知識ベースを持ち、コンテキストの混在を防ぎます:

# デフォルトエージェントで知識を追加
> /knowledge add /path/to/docs

# カスタムエージェントに切り替え
> kiro-cli chat --agent my-custom-agent

# カスタムエージェント専用の知識ベースを作成
> /knowledge add /path/to/agent/docs

知識ベースはセッション間で永続化され、自然言語クエリで検索できます。

v1.23.0

サブエージェント機能

複雑なタスクを専門的なサブエージェントに委譲できる機能が追加されました。サブエージェントは独自のコンテキストを持ち、並列実行が可能です。

主な特徴

  • 自律実行 : 独自のコンテキストで独立して実行
  • リアルタイム進捗追跡 : タスク実行中の状態をリアルタイムで確認
  • 並列タスク実行 : 複数のサブエージェントを同時実行
  • カスタムエージェント設定のサポート : 専門化されたエージェントを利用可能
  • コアツールへのアクセス : ファイル読み書き、シェルコマンド、MCP ツールの使用
  • 結果の自動集約 : 完了時に結果をメインエージェントに自動返却

使用例

# デフォルトのサブエージェントを使用
> 複数のデータソースを並列で調査して

# カスタムエージェントをサブエージェントとして使用
> 商品アイテムの一覧を返す API エンドポイントを backend エージェントで、
  商品アイテム一覧ページの UI コンポーネントを frontend エージェントで実装して

カスタムエージェントを使用することで、フロントエンドとバックエンドの同時開発など、より高度なワークフローを実現できます。

※ 既存のエージェント設定でツールを制限している場合は、subagent ツールを許可リストに追加する必要があります。

Plan エージェント機能

アイデアを構造化された実装計画に変換する専用のビルトインエージェントが追加されました。要件収集、リサーチを通じて、実装前に詳細なタスク分解を作成します。

アクセス方法

  • キーボードショートカット: Shift + Tab キー(Plan モードと実行モードを切り替え)
  • スラッシュコマンド: /plan
  • プロンプトと同時に起動: /plan 商品一覧を取得する API エンドポイントを実装したい

ワークフロー

  1. 要件収集 : 構造化された質問でアイデアを洗練
  2. リサーチと分析 : コードインテリジェンス、grep、glob ツールを使用してコードベースを探索
  3. 実装計画の作成 : 明確な目標とデモ説明を含む詳細なタスク分解を作成
  4. 計画の承認と引き継ぎ : 承認された計画を実行エージェントに転送

各タスクに含まれる情報:

  • Problem Statement (問題定義) : 何を作るのか、解決すべき課題
  • Requirements (要件) : 実装すべき機能と制約
  • Background (背景) : 技術的な意思決定の理由と前提知識
  • Proposed Solution (提案する解決策) : 実装アプローチの全体的な戦略
  • Task Breakdown (タスク分解) : 目標、実装ガイダンス、Demo

Plan エージェントは読み取り専用モードで動作し、ファイルを変更せずに計画に集中します。コードベース探索、Language Server、Grep / Glob ツール、Web 検索は利用可能ですが、ファイル書き込みやコマンド実行、MCP ツールは使用できません。

Grep / Glob ツール

高速なファイル検索のための2つの新しいビルトインツールが追加されました。

  • Grep ツール : 正規表現を使用した高速コンテンツ検索。bash の greprgag コマンドの代替として使用
  • Glob ツール : Glob パターンを使用した高速ファイル発見。bash の find コマンドの代替として使用

両ツールは .gitignore を自動的に尊重し、カレントディレクトリでデフォルトで信頼されます。

使用例

# エージェントが自動的に使用
> すべての Rust ファイルで 'async fn' を検索して
> src ディレクトリ内の全ての .ts ファイルを見つけて

shell ツールとの違い:

項目 Grep / Glob ツール shell ツール
.gitignore 自動的に尊重 考慮しない
速度 高速 標準
カレントディレクトリ デフォルトで信頼 デフォルトで確認が必要

エージェント設定で allowedPathsdeniedPaths を設定してアクセス範囲を制御できます。

マルチセッションサポート

複数のチャットセッションを管理できるインタラクティブなセッションピッカーが追加されました。セッションは起動したディレクトリごとに保存され、会話のターンごとに自動保存されます。

コマンドラインからの操作

# セッションピッカーを開く
$ kiro-cli chat --resume-picker

# 最新のセッションを再開
$ kiro-cli chat --resume  # または -r

# セッション一覧を表示
$ kiro-cli chat --list-sessions  # または -l

# セッションを削除
$ kiro-cli chat --delete-session <SESSION_ID>  # または -d

チャットセッション内からの操作

# セッションピッカーを開く
> /chat resume

# セッションをファイルに保存
> /chat save <FILE_PATH>

# ファイルからセッションを読み込む(.json 拡張子は省略可能)
> /chat load <FILE_PATH>

セッションピッカーには、セッション名、最終アクティビティ、メッセージプレビューが表示されます。

MCP Registry サポート

MCP レジストリサポートにより、組織レベルでの MCP ツールのガバナンス機能が追加されました。管理者は利用可能な MCP ツールを管理・制御でき、チーム全体での一貫性とセキュリティを確保できます。

まとめ

Kiro CLI v1.21.0 から v1.23.0 にかけて、以下の主要機能が追加されました:

v1.21.0 :

  • Web 検索・取得機能によるリアルタイム情報アクセス

v1.22.0 :

  • コードインテリジェンス機能 (LSP 統合によるさらに高度なコード操作)
  • Knowledge Management 機能による永続的な知識ベース管理 (Experimental 機能)

v1.23.0 :

  • サブエージェントによる並列タスク実行
  • Plan エージェントによる構造化された実装計画
  • Grep / Glob ツールによる高速ファイル検索
  • マルチセッションサポート
  • MCP Registry によるガバナンス機能

これらのアップデートにより、Kiro CLI はターミナル上での AI 駆動開発体験をさらに強化し、より複雑なタスクを効率的に処理できるようになりました。

まだ Kiro CLI を試していない方は、公式サイトからダウンロードできるのでぜひ試してみてください。また、Kiro のドキュメントを参照し、ぜひたくさんの機能を触ってみてください!

著者