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Oracle ExadataをAWS Cloudに簡単に移行 – Oracle Database@AWS のご紹介
本投稿は、 Channy Yunによる記事 「Introducing Oracle Database@AWS for simplified Oracle Exadata migrations to the AWS Cloud」を翻訳したものです。
2025年7月8日、AWS 内の Oracle Real Application Clusters (RAC) を含む Oracle Exadata ワークロード向けの新製品である Oracle Database @AWS の一般提供について発表しました。
過去14年間、お客様は、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)を使用してクラウドでOracle Databaseのワークロードを自己管理するか、フルマネージド型のAmazon Relational Database Service(Amazon RDS)for Oracle を使用するかを選択していました。この度、クラウドへの迅速かつ簡単な移行のためにOracle RACまたはOracle Exadataを必要とするワークロード用のオプションが追加されました。費用については、AWSへのコミットメントや、Bring Your Own License(BYOL)・Oracle Support Rewardsなどの割引プログラムを含むオラクルのライセンス特典にカウントされる請求書が、AWS Marketplaceを通じて発行されます。
Oracle Database @AWS を使用すると、最小限の変更で、Oracle ExadataワークロードをAWS内の専用インフラストラクチャ上のOracle Exadata Database Serviceまたは専用Exadataインフラストラクチャ上のOracle Autonomous Databaseに移行できます。Oracle Database @AWS デプロイメントは、AWS Management Console、AWS Command Line Interface (AWS CLI)、または AWS で実行されるアプリケーション用の AWS API などの使い慣れた AWS ツールとインターフェイスを介して購入、プロビジョニング、管理できます。AWS APIは、リソースのプロビジョニングと管理に必要なOracle Cloud Infrastracture(OCI) APIを呼び出します。
2024年12月のプレビュー以来、一般提供時にむけて本番環境のワークロードを実行するのに役立つ機能を改善または追加してきました。
- リージョンの拡大 – 2025年7月時点で、Oracle Database @AWS を米国東部 (バージニア北部) および米国西部 (オレゴン) リージョンで使用できるようになりました。また、世界20のAWSリージョンに拡大する計画も発表しています。このように幅広く利用できるため、さまざまな地域のお客様の多様なニーズに対応できるため、より多くの企業がこのオプションの恩恵を受けることができます。AWSリージョンのワークロード要件に合わせて、さまざまなExadataシステムサイズを選択できます。
- Zero-ETL と S3バックアップへの対応 – Amazon RedshiftとのZero-ETL統合による分析が可能になり、抽出、変換、ロード操作のためのデータパイプラインを構築および管理する必要がなくなりました。Zero-ETL統合を使えば、ネットワーク間のデータ転送コストをかけずに、AWSでデータを統合できます。99.9999999% (イレブンナイン) のデータ耐久性を備えた Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) のバックアップを提供しています。
- Autonomous VMクラスタ – Exadata専用インフラストラクチャ上のExadata VMクラスタに加えて、Autonomous VMクラスタをプロビジョニングできるようになりました。Oracle Autonomous Databaseは、専用のハードウェアとソフトウェアのリソースを使用する完全に管理されたデータベース環境である専用のExadataインフラストラクチャで実行できます。
Oracle Database @AWS は、S3 や Redshift などの AWS サービスへのネットワークパスを直接設定するための Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC) Lattice、認証と承認のための AWS Identity and Access Management (IAM)、データベースライフサイクルイベントのモニタリングのための Amazon EventBridge、インフラストラクチャの自動化のための AWS CloudFormation、メトリクスの収集とモニタリングのための Amazon CloudWatch、API 操作のロギングのための AWS CloudTrail など、他の AWS サービスと統合されています。
Oracle Database@AWS 入門
Oracle Database @AWS は 2 つの主要なサービスをサポートしています。1 つは AWS データセンター内の専用インフラストラクチャ上の Oracle Exadata Database Serviceと、専用の Exadata インフラストラクチャ上の Oracle Autonomous Database です。
これらのサービスは、物理的にはAWSリージョンのアベイラビリティーゾーン内に存在し、論理的にはOCIリージョンに存在するため、高速で低遅延の接続を通じてAWSサービスとシームレスに統合できます。
アベイラビリティーゾーン内でOracle Exadata VMクラスターをホストするプライベートで独立したネットワークであるODBネットワークを作成します。次に、VPCで実行されているEC2アプリケーションサーバーにアクセスできるODBピアリングを使用します。詳細については、AWS ドキュメントの「How Oracle Database@AWS works」を参照してください。
AWS Marketplaceでプライベートオファーをリクエスト
Oracle Database @AWS を開始するには、AWS Consoleにアクセスするか、AWS Marketplaceのプライベートオファーをリクエストしてください。AWSとOracleの営業チームがリクエストを受け取り、お客様のワークロードに最適なオプションを見つけて連絡し、アカウントを有効にします。
Oracle Database @AWS をアクティブ化してアクセスできるようになると、ダッシュボードを使用してODBネットワーク、Exadataインフラストラクチャ、Exadata VMクラスタまたはAutonomous VMクラスタ、およびODBピアリング接続を作成できます。
詳細については、AWS ドキュメントの「Onboarding to Oracle Database@AWS」と 「AWS Marketplace buyer private offers」をご覧ください。
ODBネットワークの作成
ODBネットワークは、AWS上でOCIインフラストラクチャをホストするプライベートな分離ネットワークです。ODBネットワークは、OCIの子サイト内に存在するネットワークに直接マッピングされ、AWSとOCI間の通信手段として機能します。
ダッシュボードで、「Create ODB network」を選択し、ネットワーク名を入力し、アベイラビリティーゾーンを選択し、アプリケーションによって確立されるクライアント用接続と自動バックアップに使用するバックアップ用接続のCIDR範囲を指定します。oraclevcn.com
と固定して、ドメインのプレフィックスとして使用する名前を入力することもできます。たとえば、myhost
と入力した場合、完全修飾ドメイン名はmyhost.oraclevcn.com
です。
オプションで、ODBネットワークアクセスを設定して、Amazon S3への自動バックアップやZero-ETLのインフラストラクチャに関する設定を行い、Amazon Redshiftを使用してほぼリアルタイムの分析とOracleデータの機械学習を行う準備を行えます。
ODBネットワークを作成したら、EC2アプリケーションサーバーのVPCルートテーブルをODBネットワークのクライアント接続CIDRで更新します。詳細については、AWSドキュメントの「ODB network」、「ODB peering」、「Configuring VPC route tables for ODB peering」を参照してください。
Exadataインフラストラクチャの作成
Oracle Exadataインフラストラクチャは、Oracle Exadata Databaseを実行するデータベースサーバー、ストレージサーバー、ネットワークの基盤となるアーキテクチャです。
Exadataインフラストラクチャの作成を選択し、名前を入力して、デフォルトのアベイラビリティーゾーンを使用してください。次のステップでは、Exadata.X11M
をExadataシステムモデルとして選択できます。また、データベースサーバー(最小2台〜最大32台)とストレージサーバー(最小3台〜最大64台、サーバーあたり80TBのストレージ容量)をそれぞれ設定することが可能です。
最後に、スケジュール、パッチモード、OCIメンテナンス通知連絡先など、システムメンテナンスの設定を構成できます。AWSコンソールからインフラストラクチャを作成した後で変更することはできません。しかし、OCIコンソールに移動して変更することはできます。
Exadataインフラストラクチャを削除するには、AWSドキュメントの「Deleting an Oracle Exadata infrastructure in Oracle Database@AWS」を参照してください。
Exadata VMクラスターまたはAutonomous VMクラスターを作成
Exadataインフラストラクチャー上にVMクラスターを作成し、同じODBネットワークに異なるOracle Exadataインフラストラクチャーを持つ複数のVMクラスターをデプロイできます。
VMクラスターには2種類あります:
- Exadata VMクラスターは、Oracle Enterprise Editionのすべての機能を含む完全なOracle Databaseがインストールされた仮想マシンのセットです。
- Autonomous VMクラスターは、完全に管理されたデータベースのセットで、人間の介入なしにAI/MLを使用して主要な管理タスクを自動化します。
Exadata VMクラスターの作成を選択し、VMクラスター名とタイムゾーンを入力し、Bring Your Own License(BYOL)またはライセンスオプションに含まれるライセンスを選択します。次のステップでは、Exadataインフラストラクチャ、grid infrastructureのバージョン、Exadata imageのバージョンを選択できます。データベースサーバーの場合は、各VMのCPUコア数、メモリ、ローカルストレージを選択するか、デフォルト値を選択することができます。
次のステップでは、ODBネットワークを選択し、VMクラスターのプレフィックスを入力することで、接続設定を構成できます。single client access name(SCAN)リスナーへのTCPアクセスのポート番号を入力できます。デフォルトのポートは1521です。または、1024〜8999の範囲でカスタムSCANポートを入力できます。SSHキーペアの場合は、VMクラスターへのSSHアクセスに使用される1つ以上のキーペアの公開鍵部分を入力してください。
次に、診断とタグを選択し、設定を確認して、VMクラスターを作成できます。VMクラスターのサイズにもよりますが、作成プロセスには最大6時間かかることがあります。
Oracle Databaseを作成して管理
VMクラスターの準備が整ったら、OCIコンソールでOracle Exadataデータベースを作成して管理できます。Exadata VMクラスターの詳細ページで「Manage in OCI」を選択してください。OCIコンソールにリダイレクトされます。
OCIコンソールでOracle Databaseを作成するときは、Oracle Database 19cまたは23aiを選択できます。プロビジョニングされたデータベースの自動バックアップを有効にする場合は、S3バケットまたはOCIリージョンのOCIオブジェクトストレージを使用できます。詳細については、OCI ドキュメントの 「Provision Oracle Exadata Database Service in Oracle Database@AWS 」を参照してください。
注意事項
Oracle Database @AWS について知っておくべきことがいくつかあります。
- モニタリング — VM クラスター、コンテナデータベース、およびプラガブルデータベースの AWS/ODB 名前空間にある Amazon CloudWatch メトリクスを使用して Oracle Database @AWS をモニタリングできます。AWS CloudTrailは、Oracle Database @AWS に対するすべての AWS API 呼び出しをイベントとしてキャプチャします。CloudTrailのログを使用すると、Oracle Database @AWS に対して行われたリクエスト、リクエストが行われたIPアドレス、リクエストが行われた日時、および追加の詳細を確認できます。詳細については、「Monitoring Oracle Database@AWS」をご覧ください。
- セキュリティ — IAM を使用して、Oracle Database @AWS リソースと、データを保護するための SSL/TLS 暗号化接続を誰に管理できるかを決定する権限を割り当てることができます。Amazon EventBridgeを使用して、イベント主導型のデータベースをシームレスに運用することもできます。すべてが連携してセキュリティ基準を維持すると同時に、効率的なクラウド運用が可能になります。詳細については、「Security in Oracle Database@AWS」をご覧ください。
- コンプライアンス — Oracle Database @AWS を使用する場合のコンプライアンス責任は、データの機密性、会社のコンプライアンス目標、および適用される法律と規制によって決まります。お客様は、オラクルのクラウド・コンプライアンスに関する情報をオラクルのウェブサイトで見つけることができます。Oracle Database @AWS は、SOC 1、SOC 2、SOC 3、HIPAA、C5、CSA STAR Attest、CSA STAR Cert、HDS (フランス)、ISO シリーズ (ISO/IEC 9001、20000-1、27001、27017、27018、27701、22301)、PCI DSS、HITRUSTなど、AWSコンプライアンスプログラムの対象範囲内のAWSサービスと統合されています。
- サポート — AWSまたはOracleの営業アカウントチームが、現在のデータベースインフラストラクチャの評価、Oracle Database@AWS が組織の要件に最も合致するための方法の決定、およびカスタマイズされた移行戦略とタイムラインの策定を支援します。また、AWSクラウドで実行されるOracleベースのワークロードの設計、デプロイ、管理を専門とするAWS Oracleコンピテンシーパートナーから支援を受けることもできます。
現在利用可能な機能、近日公開予定の機能
Oracle Database @AWS は、AWS マーケットプレイスを通じて米国東部 (バージニア北部) および米国西部 (オレゴン) リージョンで利用できるようになりました。Oracle Database @AWS の価格設定と AWS マーケットプレイスのプライベートオファーはOracleによって設定されます。価格に関する具体的な詳細は、Oracleのサービスの価格設定ページで確認できます。
Oracle Database @AWS は、以下を含む南北アメリカ、ヨーロッパ、アジア太平洋地域のさらに20のAWSリージョンに拡大する予定です:
米国東部(オハイオ)、米国西部(北カリフォルニア)、アジア太平洋(メルボルン)、アジアパシフィック(ムンバイ)、アジアパシフィック(大阪)、アジアパシフィック(ソウル)、アジアパシフィック(シンガポール)、アジアパシフィック(シドニー)、アジアパシフィック(東京)、カナダ(中央)、ヨーロッパ(フランクフルト)、ヨーロッパ(ロンドン)、ヨーロッパ(ミラノ)、ヨーロッパ(パリ)、ヨーロッパ(スペイン)、ヨーロッパ(ストックホルム)、ヨーロッパ(チューリッヒ)、南米(サンパウロ)
AWS コンソールを使って Oracle Database @AWS を使い始めることができます。詳細については、「Oracle Database@AWS User Guide」と OCI のドキュメントにアクセスし、通常の AWS サポートの連絡先または OCI サポートにフィードバックを送ってください。
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翻訳はソリューションアーキテクトの 矢木 覚 が担当しました。原文はこちらです。