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Oracle Exadata から AWS クラウドへの移行を簡素化する Oracle Database@AWS のご紹介

7 月 8 日、AWS 内で Oracle Real Application Clusters (RAC) を含む Oracle Exadata ワークロード向けの新しいオファリングである Oracle Database@AWS の一般提供の開始を発表しました。

お客様は過去 14 年間にわたって、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) を使用してクラウド内で Oracle データベースワークロードをセルフマネージドで管理するか、フルマネージドの Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) for Oracle を使用するかを選択できました。今後は、Oracle RAC または Oracle Exadata を必要とするワークロード向けに、より迅速かつシンプルなクラウド移行を実現するための追加のオプションをご利用いただけます。また、お客様は、AWS Marketplace を通じて単一の請求書を受け取ります。これは、AWS とのコミットメントや Oracle ライセンス特典 (Bring Your Own License (BYOL) や Oracle Support Rewards などの割引プログラムを含む) にカウントされます。

Oracle Database@AWS を利用すると、変更を最小限に抑えながら、AWS 内で、Oracle Exadata ワークロードを Oracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure または Oracle Autonomous Database on Dedicated Exadata Infrastructure に移行できます。お客様は、AWS マネジメントコンソールAWS コマンドラインインターフェイス (AWS CLI)、または AWS API などの使い慣れた AWS ツールとインターフェイスを通じて、Oracle Database@AWS デプロイを購入、プロビジョニング、管理できます。AWS API は、リソースをプロビジョニングおよび管理するために必要な、対応する Oracle Cloud Infrastructure (OCI) API を呼び出します。

2024 年 12 月のプレビュー以降、一般提供が開始される際に、本番ワークロードを実行するのに役立つよう、弊社は機能を改善したり、追加したりしてきました:

  • リージョンレベルの拡大 –  7 月 8 日より、米国東部 (バージニア北部) リージョンと米国西部 (オレゴン) リージョンで Oracle Database@AWS をご利用いただけるようになりました。また、世界中の 20 の AWS リージョンに拡大する計画も発表しました。このより幅広い可用性は、さまざまな地理的エリアのお客様の多様なニーズをサポートするため、より多くの企業がこのオプションから恩恵を享受できます。AWS リージョンのワークロード要件に合わせて、さまざまな Exadata システムサイズからお選びいただけます。
  • ゼロ ETL と S3 バックアップ – 分析のために Amazon Redshift とのゼロ ETL 統合から恩恵を享受できるようになりました。これは、抽出、変換、ロードオペレーションのためのデータパイプラインを構築および管理する必要性をなくします。ゼロ ETL により、ネットワーク間のデータ転送コストを発生させることなく、AWS 上のデータを統合できます。最大でイレブンナインのデータ耐久性を備えた Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) バックアップを提供しています。
  • Autonomous VM クラスター – Exadata Dedicated Infrastructure 上で、Exadata VM クラスターに加えて Autonomous VM クラスターをプロビジョニングできるようになりました。コミットされたハードウェアおよびソフトウェアリソースを使用するフルマネージドデータベース環境である Oracle Autonomous Database on Dedicated Exadata Infrastructure を実行できます。

また、Oracle Database@AWS は、Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC) Lattice (S3 や Redshift などの AWS サービスへのネットワークパスを直接設定するため)、AWS Identity and Access Management (IAM) (認証と認可のため)、Amazon EventBridge (データベースライフサイクルイベントをモニタリングするため)、AWS CloudFormation (インフラストラクチャオートメーションのため)、Amazon CloudWatch (メトリクスを収集およびモニタリングするため)、AWS CloudTrail (API オペレーションをログ記録するため) などの他の AWS サービスと統合します。

Oracle Database@AWS の開始方法
Oracle Database@AWS は、AWS データセンター内で、Oracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure と Oracle Autonomous Database on Dedicated Exadata Infrastructure という 2 つの主要サービスをサポートしています。

これらのサービスは、物理的には AWS リージョンのアベイラビリティーゾーン内に存在し、論理的には OCI リージョンに存在するため、高速かつ低レイテンシーの接続を通じて AWS サービスとのシームレスな統合を実現できます。

Oracle Exadata VM クラスターをアベイラビリティーゾーン内でホストする、プライベートで分離されたネットワークである ODB ネットワークを作成します。その後、VPC で実行されている EC2 アプリケーションサーバーにアクセスできる ODB ピアリングを使用します。詳細については、AWS ドキュメントの「How Oracle Database@AWS works」にアクセスしてください。

AWS Marketplace でプライベートオファーをリクエストする

Oracle Database@AWS のジャーニーを開始するには、AWS コンソールにアクセスするか、または AWS Marketplace のプライベートオファーをリクエストしてください。AWS と Oracle の営業チームがお客様のリクエストを受け取り、お客様のワークロードに最適なオプションを見つけるためにお客様にご連絡し、アカウントをアクティブ化します。

Oracle Database@AWS をアクティブ化してアクセスできるようになったら、[ダッシュボード] を使用して、ODB ネットワーク、Exadata インフラストラクチャ、Exadata VM クラスターまたは Autonomous VM クラスター、および ODB ピアリング接続を作成できます。

詳細については、AWS ドキュメントの「Onboarding to Oracle Database@AWS」と「AWS Marketplace buyer private offers」にアクセスしてください。

ODB ネットワークを作成する

ODB ネットワークは、AWS 上で OCI インフラストラクチャをホストする分離されたプライベートネットワークです。ODB ネットワークは、OCI の子サイト内に存在するネットワークに直接マッピングするため、AWS と OCI の間の通信手段として機能します。

[ダッシュボード] で、[ODB ネットワークを作成] を選択し、ネットワーク名を入力し、アベイラビリティーゾーンを選択して、アプリケーションによって確立されるクライアント接続と、自動バックアップの実行に使用されるバックアップ接続の CIDR 範囲を指定します。また、ドメイン (oraclevcn.com に固定されています) のプレフィックスとして使用する名前を入力することもできます。例えば、myhost と入力した場合、完全修飾ドメイン名は myhost.oraclevcn.com となります。

オプションで、ODB ネットワークアクセスを設定して、Amazon S3 への自動バックアップとゼロ ETL を実行し、Amazon Redshift を利用して Oracle データに対するほぼリアルタイムの分析と ML を実現できます。

ODB ネットワークを作成したら、EC2 アプリケーションサーバーの VPC ルートテーブルを、ODB ネットワークのクライアント接続 CIDR で更新します。詳細については、AWS ドキュメントの「ODB network」、「ODB peering」、「Configuring VPC route tables for ODB peering」にアクセスしてください。

Exadata インフラストラクチャを作成する

Oracle Exadata インフラストラクチャは、Oracle Exadata データベースを実行するデータベースサーバー、ストレージサーバー、およびネットワーキングの基盤となるアーキテクチャです。

[Exadata インフラストラクチャを作成] を選択し、名前を入力して、デフォルトのアベイラビリティーゾーンを使用します。次のステップでは、Exadata システムモデルとして [Exadata.X11M] を選択できます。また、データベースサーバーは、デフォルトで 2 台、最大で 32 台設定でき、ストレージサーバーは、デフォルトで 3 台、最大で 64 台設定できます (サーバーあたりのストレージ容量は 80 TB)。

最後に、スケジュール設定、パッチ適用モード、OCI メンテナンス通知の連絡先など、システムメンテナンスの詳細設定を構成できます。AWS コンソールからインフラストラクチャを作成した後、そのインフラストラクチャを変更することはできません。ただし、OCI コンソールに移動して変更することは可能です。

Exadata インフラストラクチャを削除するには、AWS ドキュメントの「Deleting an Oracle Exadata infrastructure in Oracle Database@AWS」にアクセスしてください。

Exadata VM クラスターまたは Autonomous VM クラスターを作成する

Exadata インフラストラクチャ上に VM クラスターを作成し、同じ ODB ネットワーク内に異なる Oracle Exadata インフラストラクチャを持つ複数の VM クラスターをデプロイできます。

VM クラスターには次の 2 つのタイプがあります:

  • Exadata VM クラスターは、Oracle Enterprise Edition のすべての機能を含む完全な Oracle データベースがインストールされた仮想マシンのセットです。
  • Autonomous VM クラスターは、人間による介入を必要とせずに、AI/ML を利用して主要な管理タスクを自動化するフルマネージドデータベースのセットです。

[Exadata VM クラスターを作成] を選択し、VM クラスター名とタイムゾーンを入力して、ライセンスオプションとして Bring Your Own License (BYOL) またはライセンス込みを選択します。次のステップでは、Exadata インフラストラクチャ、グリッドインフラストラクチャのバージョン、および Exadata イメージのバージョンを選択できます。データベースサーバーについては、各 VM の CPU コア数、メモリ、ローカルストレージを選択するか、またはデフォルトをそのまま使用できます。

次のステップでは、ODB ネットワークを選択し、VM クラスターのプレフィックスを入力することで、接続設定を構成できます。単一クライアントアクセス名 (SCAN) リスナーに対する TCP アクセス用のポート番号を入力できます。デフォルトのポートは 1521 ですが、1024~8999 の範囲でカスタム SCAN ポートを入力することもできます。SSH キーペアについては、VM クラスターに対する SSH アクセスのために使用する 1 つ以上のキーペアのパブリックキーの部分を入力します。

その後、診断とタグを選択し、設定を確認して、VM クラスターを作成します。作成プロセスには、VM クラスターのサイズに応じて最大 6 時間かかる場合があります。

Oracle データベースを作成および管理する

VM クラスターの準備ができたら、OCI コンソールで Oracle Exadata データベースを作成および管理できます。Exadata VM クラスターの詳細ページで、[OCI で管理] を選択します。OCI コンソールにリダイレクトされます。

OCI コンソールで Oracle Database を作成する際、Oracle Database 19c または 23ai を選択できます。プロビジョンドデータベースのために自動バックアップを有効にする際に、OCI リージョンの S3 バケットまたは OCI Object Storage を使用できます。詳細については、OCI ドキュメントの「Provision Oracle Exadata Database Service in Oracle Database@AWS」にアクセスしてください。

知っておくべきこと
Oracle Database@AWS についていくつか知っておくべきことを次に示します:

  • モニタリング – VM クラスター、コンテナデータベース、プラガブルデータベースの AWS/ODB 名前空間にある Amazon CloudWatch メトリクスを使用して、Oracle Database@AWS をモニタリングできます。AWS CloudTrail は、Oracle Database@AWS のすべての AWS API コールをイベントとしてキャプチャします。CloudTrail ログを使用すると、Oracle Database@AWS に対して実行されたリクエスト、リクエストの実行元の IP アドレス、リクエストの実行日時、および他の詳細を確認できます。詳細については、「Monitoring Oracle Database@AWS」にアクセスしてください。
  • セキュリティ – IAM を使用して許可を割り当てて、Oracle Database@AWS リソースを管理することが許可されるユーザーを決定できるほか、SSL/TLS 暗号化接続を使用してデータのセキュリティを確保できます。また、シームレスなイベントドリブンのデータベースオペレーションのために、Amazon EventBridge を利用することもできます。これらはすべて連携して、効率的なクラウド運用を実現しながら、セキュリティ標準を維持します。詳細については、「Security in Oracle Database@AWS」にアクセスしてください。
  • コンプライアンス – Oracle Database@AWS を利用する際のコンプライアンスに関する責任は、データの機密性、お客様の企業のコンプライアンスに関する目標、ならびに適用される法令および規制によって決まります。当社は、Oracle Database@AWS で次のコンプライアンスを提供しています: SOC 1、SOC 2、SOC 3、HIPAA、C5、CSA STAR Attest、CSA STAR Cert、HDS (フランス)、ISO シリーズ (ISO/IEC 9001、20000-1、27001、27017、27018、27701、22301)、PCI DSS、HITRUST。詳細については、「Compliance validation for Oracle Database@AWS」にアクセスしてください。
  • サポート – AWS または Oracle の営業担当チームは、お客様の現在のデータベースインフラストラクチャの評価、Oracle Database@AWS がお客様の組織の要件をどのように最良に満たすことができるのかを明らかにすること、カスタマイズされた移行戦略とタイムラインの策定をサポートできます。また、AWS クラウドで実行される Oracle ベースのワークロードの設計、デプロイ、管理に特化した AWS Oracle コンピテンシーパートナーからのサポートを受けることもできます。

一般提供の開始と近日中に予定されている提供の開始
Oracle Database@AWS は、AWS Marketplace を通じて、米国東部 (バージニア北部) リージョンと米国西部 (オレゴン) リージョンでご利用いただけるようになりました。Oracle Database@AWS の料金および AWS Marketplace のプライベートオファーは、Oracle によって設定されます。このオファリングについての料金に関する詳細は、Oracle の料金ページでご覧いただけます。

Oracle Database@AWS は、南北アメリカ、欧州、アジアパシフィックの 20 超の AWS リージョンに拡大される予定です。これには、次が含まれます: 米国東部 (オハイオ)、米国西部 (北カリフォルニア)、アジアパシフィック (ハイデラバード)、アジアパシフィック (メルボルン)、アジアパシフィック (ムンバイ)、アジアパシフィック (大阪)、アジアパシフィック (ソウル)、アジアパシフィック (シンガポール)、アジアパシフィック (シドニー)、アジアパシフィック (東京)、カナダ (中部)、欧州 (フランクフルト)、欧州 (アイルランド)、欧州 (ロンドン)、欧州 (ミラノ)、欧州 (パリ)、欧州 (スペイン)、欧州 (ストックホルム)、欧州 (チューリッヒ)、南米 (サンパウロ)。

Oracle Database@AWS は、AWS コンソールを使用して開始できます。詳細については、「Oracle Database@AWS ユーザーガイド」および OCI ドキュメントにアクセスしてください。また、通常の AWS サポートの連絡先または OCI サポートを通じて、ぜひフィードバックをお寄せください。

Channy

原文はこちらです。