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Amazon SES におけるテナント管理によるメール配信性能の向上
本記事は、2025 年 8 月 6 日に公開された Improve email deliverability with tenant management in Amazon SES を翻訳したものです。翻訳は Solutions Architect の 松岡勝也 が担当しました。
Amazon Simple Email Service (Amazon SES) は、E コマースサービスから金融機関、マーケティングテクノロジー製品プロバイダーまで、さまざまな業界で組織のメールコミュニケーションニーズの管理を支援しています。多くの企業は、自社のメール送信だけでなく、エンドユーザーに代わって、あるいは様々な事業部門にわたってメールを送信する課題に直面しています。このような マルチテナントメール送信プラクティス として知られるシナリオには、慎重なアーキテクチャの検討が必要です。例えば、マーケティングサービスが数百の小売クライアントのプロモーションメールを送信する必要がある場合や、企業の IT チームが複数の事業部門 (BU) 全体のメールコミュニケーションを管理する場合などが該当します。これらのクライアントや BU はテナントとしても識別されます。
Amazon SES でマルチテナンシーを正常に実装するために、顧客は通常、Amazon SES 内でアーキテクチャパターンを開発し、各テナントのメール送信評価を分離しながら、数千のエンドユーザーのメール送信ニーズを効率的に処理するという重要な目標を達成します。この分離は、各顧客のメール配信性能のメトリクスを保護し、あるテナントの問題が他のテナントに影響を与えることを防ぐために重要です。Amazon SES のお客様は、メール送信用の分離された設定セットを通じてマルチテナンシーを実現できますが、従来、評価管理と適用はアカウントレベルで行われていました。これに対応するため、Amazon SES は個々のテナントレベルでのテナント分離と評価管理を可能にするテナント管理機能を提供するようになりました。この新機能により、単一の Amazon SES アカウント内で複数のテナントを管理する組織は、より優れた制御と柔軟性を得られ、各テナントは独自の送信評価を個別に維持できるようになります。
この記事では、新しくリリースされたテナント管理機能について説明します。この機能により、個々のテナントのオンボーディングと評価を分離して管理できるようになります。この機能を使用すると、1 つの AWS アカウント内で最大 10,000 個の分離されたテナントを作成・管理できます (明示的なリクエストにより 300,000 個まで増やすことが可能)。各テナントは独立した設定と評価メトリクスを持つことができます。自動化されたテナントレベルの制御、リアルタイムモニタリング、カスタマイズ可能な送信ポリシーを通じて、これらの機能がメール配信品質をどのように維持するかについて説明します。
複数の顧客に代わってメールを送信するサービスプロバイダーであっても、複数の BU や LOB (Line of Business) を統括する企業であっても、この新機能は評価ベースの検出結果を特定し、他のテナントの評価を保護するために個々のテナントの送信を一時停止する高度なワークフローを提供します。これらの機能強化は、Amazon SES が提供されている AWS リージョンでグローバルに利用可能で、大規模なメール配信管理における大きな進歩を表しています。
ユースケース
Amazon SES のテナント管理機能を使用することで、以下のユースケースを簡単に実現できます。
- 異なるドメインを持つ複数の BU からの複数ブランドの導入
- マーケティングとトランザクションのテナントの分離
- ISV (独立系ソフトウェアベンダー) の顧客が求める、顧客ごとのメール送信の評価をサポート
- 設定セットを使用したドメイン管理
- 個々の顧客のメール送信の評価の追跡とメール送信プロセスの制御
マルチテナントメール運用の課題
メールはビジネスにとって重要なコミュニケーションチャネルです。しかし、複数のテナント (顧客や BU) に対するメール運用の管理には、これまで以下のような大きな課題がありました:
- 分離の不足: 適切なテナント分離がないと、1 つのテナントの不適切な送信方法が他のテナントのメール配信性能とメール評価に悪影響を及ぼし、メール送信運用全体を危険にさらす可能性がある。
- 可視性の制限: テナントごとのメールパフォーマンスメトリクスの理解や送信評価の独立した管理が、不可能ではないにしても困難である。
- スケーラビリティの制約: 多くの組織が、ID や設定セットなどのリソースに対するアカウントレベルの制限により、メール運用のスケーリングに苦労している。
- 不十分な制御: テナント固有の制限や設定を行うことができないため、個々のテナントが他のテナントに影響を与えたり、割り当てられたリソースを超過したりすることを防ぐのが困難である。
- 複雑なモニタリング: テナントのアクティビティを監視するためのカスタムソリューションの構築は、一貫性のない非効率なワークフローにつながることが多くある。
テナント管理機能のメリット
Amazon SES のテナント管理機能は、顧客や LOB (テナント と呼ばれます) に代わって大規模なメール送信を管理する組織向けの包括的なソリューションを提供します。この機能は、Software as a Service (SaaS) プロバイダー、メールサービスプロバイダー、そして複数のクライアントや部門間でメール運用管理を行う企業にとって特に有用で、テナントごとに分離して管理することができます。
テナント管理により、組織はメールの送信フローと評価を独立して効果的に管理し、さまざまなメール運用を監視できます。この新機能により、組織による Amazon SES の使用方法が改善され、以下の主要な機能によってテナントレベルでより優れた制御と可視性を持って、複雑で多面的なメール運用を処理できるようになります。
- テナントリソースと評価の分離: テナント管理により、異なる顧客やビジネスラインにわたってメールの評価を保護する、専用のリソース分離が提供されます。各テナント(顧客または LOB )は、メールボックスプロバイダーが Amazon SES アカウント内で監視する、メール送信用 IP、ドメイン、DomainKeys Identified Mail (DKIM) 署名ヘッダー内の識別子など、独自の専用リソースセットを持ちます。テナント管理により、リソース割り当ての詳細な制御が可能になります。組織の要件に基づいて、テナント固有または共有の送信 ID を割り当てることができます。各テナントは、割り当てられたリソースへの安全なアクセスを提供する、専用の SMTP または API 認証情報を受け取ることができます。送信トラフィックを分離し、各テナントの個別の評価プロファイルを維持するテナントレベルの IP プールを設定できます。テナント管理を使用して、各テナントのメールの処理と追跡方法を定義するテナント固有の設定セットを管理できます。メールテンプレートを特定のテナントに関連付けることができ、ブランド化されたコミュニケーションが適切に分離され制御されることを確認できます。この分離により、1 つのテナントの行動が他のテナントの評価やパフォーマンスに影響を与えないようにします。テナントが配信の問題や評価の問題に遭遇した場合、これらの課題は専用リソース内に限定されます。このアプローチにより、すべてのテナント間の公平性が維持され、メール運用に対する明確な個別の責任所在が確立されます。
- テナント固有のメトリクスをリアルタイムでモニタリング: 送信者の評価に直接影響を与える未加工のバウンス率や苦情率など、各テナントの具体的な評価メトリクスにアクセスできます。このシステムを使用して、詳細な追跡と分析のために、テナントにマッピングされた各設定セットを通じてテナントレベルのイベントの送信先を設定できます。これにより、各テナントのパフォーマンスを追跡し、利用状況とコンプライアンスのメトリクスを個別に把握できる詳細なテナントレベルのイベントにアクセスできます。また、ビジネス要件に合わせて設定可能な閾値に基づいて、自動的な強制ポリシーを確立できます。テナントの評価に関する検出事項が検出された場合や、テナントのステータスが変更された場合、Amazon EventBridge を通じてリアルタイムのアラートを受け取ることができます。
- 数十万のテナントまでスケール: このシステムは大規模なスケーリングに対応するように設計されており(アカウントあたり 1 万テナントから開始し、最大 30 万テナントまで増やすことが可能)、インフラストラクチャの制限を気にすることなく、ビジネスを成長させたりメール運用を拡大したりできます。数十から数十万のテナントを管理する場合でも、システムはニーズに適応します。
- テナント管理ワークフローの自動化: 新しいテナントのオンボーディング、ポリシーの適用、テナントのライフサイクル管理のための自動化プロセスを設定できます。このシステムでは、API とコンソールインターフェイスを使用してテナントの作成、変更、削除を行い、必要に応じて送信機能の一時停止や再開を柔軟に行うことができます。この自動化により、すべてのテナントに対して一貫したメール送信基準を適用する際の手動作業を削減できます。
- 高い配信性能を維持するための対象を絞った強制アクション: 特定のテナントに問題が発生した場合、他のテナントに影響を与えることなく、送信権限の一時停止やより厳格な評価ポリシーの適用など、正確なアクションを取ることができます。この機能により、運用全体の高い配信性能を維持することができます。
これらの機能は、総合的にメール管理機能の進歩を示しており、組織は評価とコンプライアンスを厳格に管理しながら、より高度で、スケーラブルで、信頼性の高いメールサービスをクライアントや社内部門に提供できます。
テナント管理の仕組み
Amazon SES のテナント管理機能を使用して、メール送信業務を効果的にセグメント化できます。このシステムを使用すると、1 つの Amazon SES アカウント内に複数のテナントを作成でき、各テナントは独自の専用リソースを持つことができます。これらのリソースには、送信 ID、SMTP 認証情報、設定セット、専用 IP プールなどの重要なコンポーネントが含まれます。このアーキテクチャが特に柔軟なのは、IP プールや設定セットなどの共通リソースをテナント間で共有できることで、運用上の分離を維持しながら最適なリソース利用が可能になります。次の図は、上記の情報を詳しく説明しています。
前提条件
テナント管理を開始するには、以下が必要です:
- AWS アカウント
- Amazon SES で検証済みの送信元 ID (ドメインまたはメールアドレス)
- メール設定用の設定セット
- ビジネス要件に基づいたテナントの構造の明確な理解
テナント管理の設定方法と主要な考慮事項
Amazon SES でマルチテナントシステムを構築するには、IP プール、ドメイン検証、設定セットという 3 つの重要なコンポーネントを慎重に設定する必要があります。セットアップ手順に従うことで、各テナントは分離されたリソース、適切なトラッキング、モニタリング機能を持つことができます。Amazon SES の AWS Management Console または Amazon SES API を使用することで、各テナントの評価を分離しながら、高い配信性能を維持できる堅牢なメール送信インフラストラクチャを構築できます。
IP プールの設定
IP プールの設定は、Amazon SES を使用してメール通信を送信するための基本的なステップです。マルチテナントのセットアップを開始するには、設定セットを通じて各顧客専用の専用 IP プールまたはマネージド IP プールを確立します。まず、Amazon SES コンソールにアクセスし、専用 IP のセクションに移動します。新しい標準 IP プールを作成し、顧客を明確に識別できる名前を付けます。AWS Support を通じて、顧客の送信量に基づいて必要な IP アドレスの数をリクエストします。IP がプロビジョニングされたら、適切なプールに割り当てます。その後、IP プールをテナントに紐付けられた設定セットと関連付けます。IP ウォームアップについては、45 日間かけて送信量を徐々に増やす自動ウォームアップスケジュールを有効にするか、それを無効にして独自のカスタムウォームアッププランを実装するかの 2 つのオプションがあります。最適な配信率を確保するために、ウォームアップの進行状況を注意深く監視してください。
ドメイン検証プロセス
IP プールの設定後、お客様の送信者識別情報を確立するためにドメインの検証を進めます。Amazon SES コンソールの「検証済み ID」(検証済み ID とは、Amazon SES で検証済みのドメインまたはメール ID のこと) セクションに移動し、お客様のドメイン名を使用して新しいドメイン識別情報を作成します。Amazon SES は、ドメインの DNS 設定に追加する必要がある DKIM レコードを提供します。お客様と協力して、これらのレコードを DNS 設定に正しく実装してください。検証プロセスは通常、完了までに 24~72 時間かかります。この間、Amazon SES コンソールで定期的に検証ステータスを確認し、プロセスが正常に完了することを確認してください。
テナントの認証と認可
特定の ID と設定に対するメール送信の制限に加えて、AWS Identity and Access Management (IAM) のユーザーまたはロールのポリシーを使用して、テナントごとにメール送信権限を制限できます。以下のポリシーでは、テナントの Amazon Resource Name (ARN) が arn:aws:ses:us-east-1:111122223333:tenant/testTenant1/tn-e08a68010000a3e4c67bcd990910
、ID が arn:aws:ses:us-east-1:111122223333:identity/example.com
、設定セットが arn:aws:ses:us-east-1:111122223333:configuration-set/testTenant1.
の場合にのみメール送信を許可する制限を示しています。
設定セットのセットアップ
最後のステップは、トラッキングとモニタリングを管理する設定セットの作成と構成です。
まず、Amazon SES コンソールの設定セット セクションで新しい設定セットを作成し、顧客の識別子に合わせて名前を付けます。
カスタムトラッキングドメインを設定し、開封とクリックの適切なトラッキング設定を有効にします。
この設定を、先ほど作成した IP プールにリンクします。
次に、メール配信状況を監視するためのイベントの送信先を設定します。これには Amazon CloudWatch メトリクス、Amazon Data Firehose、または Amazon Simple Notification Service (Amazon SNS) トピックを含めることができます。
CloudWatch では、バウンス率 (推奨しきい値: 5%) や苦情率 (推奨しきい値: 0.1%) などの重要なメトリクスに対してアラームを作成します。
これらのしきい値を超えた場合にチームに通知するシステムを設定し、配信の問題に迅速に対応できるようにします。
CLI コマンドの例
テナント管理の利用を開始するには、コンソール、AWS Command Line Interface (AWS CLI)、または AWS SDK を使用できます。以下は、AWS CLI を使用してテナントを作成および設定する基本的な例です。
以下では、テナントの作成から削除までのテナント管理手順のライフサイクルについて説明します。AWS CLI バージョン 2.28.0 以降を使用していることを確認してください。必要に応じて、AWS CLI のインストールと更新手順を参照してください。
新しいテナントの作成
“–region” の値はオプションです。
テナントに送信 ID (ドメインまたはメール ID) を割り当てる
テナントに設定セットを追加
ここでは、選択された設定セットにすでに IP プール が関連付けられていることを前提としています。
get-tenants または list-tenants によるテナント情報の取得
get-tenant
または list-tenants
を使用して、テナントの名前、ID、ARN、作成タイムスタンプ、タグ、送信ステータスなど、特定のテナントに関する情報を取得できます。また、list-tenants
を使用してアカウントに関連付けられているすべてのテナントを一覧表示できます。
テナントのリソース一覧を表示
テナントを使用してメールを送信
デフォルトで適用される標準ポリシーから厳格ポリシーへ評価ポリシーを変更
テナントの送信を無効化 (テナントを一時的に無効化または一時停止)
テナントの削除 (テナントを Amazon SES アカウントから完全に削除)
SMTP を使用したメール送信
X-SES-TENANT ヘッダーは、AWS が複数のテナント間でメールを管理するために使用されます。X-SES-TENANT フィールドにテナント名を指定することができます。このアプローチにより、テナント情報に基づいてメールをより適切に整理およびルーティングすることができます。これを実装するには、SMTP を使用してメールを送信する際に X-SES-TENANT ヘッダーを追加します。以下の Python コードは、メール送信プロセスでこのヘッダーを含める方法を示しています:
テナントのメールイベントのフィードバックループ管理
メールイベントの受信やフィードバックの仕組みの利用は、テナントのメール送信運用を監視する上で重要です。テナント管理は、マルチテナント環境での評価管理機能を提供し、組織がテナントベース全体のメール送信運用を詳細に制御できるようにします。テナントレベルで評価に基づくポリシーを自動的に監視・適用できるため、1 つのテナントの問題のあるメール送信動作が他のテナントの配信性能に影響を与えることはありません。信頼性の問題が検出された場合、Amazon SES は影響を受けたテナントのメール送信を自動的に一時停止し、他のテナントはメール送信を妨げられることなく継続できます。組織は、配信性能の問題を早期に検出する自動化された評価検出を通じて、正確な制御メカニズムを実装できるようになりました。テナントの分離は、機械学習モデルとシグナルに基づく検出を使用して、メール送信動作の問題のあるパターンを特定します。問題が検出されると、Amazon SES は自動的に親アカウントに通知し、カスタマイズ可能なしきい値に基づいて事前に定義されたアクションをトリガーできます。この詳細な制御により、テナントレベルで問題を分離して対処しながら、メール送信インフラストラクチャ全体で高い配信性能を維持できます。
執行データとパターン
各国の法律が寄せ集めのように適用されている他のコミュニケーションチャネルとは異なり、大量メール配信は少数の大手メールサービスプロバイダーが定める要件に従う必要があります。Google、Yahoo、Microsoft などのプロバイダーが配信性能の目標を設定し、その遵守は送信者や Amazon SES などのサービスプロバイダーに委ねられています。Amazon SES は、マルチテナントプロバイダーを含む直接の顧客に対して、主要な執行シグナルを監視することを期待しています。そして、テナントが不正なメールを送信した場合、AWS の顧客が主要な執行シグナルを監視し、不正なテナントの一時停止や送信の停止などの適切な措置を取ることを想定しています。執行シグナルと信頼指標は、メールの評価管理システムにおいて不可欠な要素となります。これらのシグナルは、メール送信者の信頼性を評価するために監視する様々なデータポイントと行動を指し、これらのシグナルから導き出される信頼指標は、送信者の評価とベストプラクティスの遵守度を示す指標となります。Amazon SES は、送信前のシグナル(アカウントの審査や設定など)と送信後のシグナル(配信成功率、バウンス率、受信者の反応度など)を組み合わせて評価結果を算出します。これらの結果は、自動的な執行アクションと手動レビューに活用され、サービスが高い配信性能基準を維持しながら、不要または悪意のあるメールから受信者を保護することに役立ちます。シグナル分析と執行プロセスを継続的に改善することで、すべてのユーザーにとって信頼性が高く安全なメールエコシステムの構築を目指しています。
テナント分離と評価管理の運用
複数のテナントが SES アカウントを通じてメールを送信する場合、送信動作と評価を監視する必要があります。Amazon SES は、評価結果を通じて包括的な監視システムを提供し、テナントが懸念される送信パターンを示した場合に警告を通知します。これらの検出結果はダッシュボードに表示され、Amazon EventBridge のデフォルトイベントバスを通じてイベントとして配信されるため、問題が発生した際に即座に通知を受けることができます。
メール配信管理者として、日常のモニタリングルーチンには、すべてのテナントのステータスを一目で確認できるテナント管理ダッシュボードの確認を含める必要があります。特に注意が必要なのは、低レベルと高レベルの 2 段階で示される評価結果です。これらの指標は、バウンス率や苦情率などのメトリクスが許容のしきい値を超えた場合に表示されます。評価ポリシーを設定することで、これらのしきい値を超えた場合にテナントの送信を自動的に一時停止できます。標準的な実施(高レベルの結果で一時停止)または厳格な実施(低レベルの結果で一時停止)のオプションを選択できます。
テナントが自動または手動で一時停止された場合、その原因を調査する必要があります。評価結果には、バウンス率や苦情率の上昇など、一時停止のトリガーとなった詳細な情報が含まれています。テナントの根本的な問題に対処した後、送信を再開することができます。回復中、テナントはメトリクスが正常なレベルに戻ることを確認するためのモニタリングを行いながら、送信が可能になります。メトリクスが改善されると、テナントは自動的に通常の有効なステータスに戻ります。
利用可能なメトリクスとデータポイント
これらのコアの評価メトリクスは Amazon SES によって公開され、EventBridge にルーティングできます。イベントフィードバックループにはテナント名と ID が含まれるため、テナント固有のバウンス率を追跡できます。
- テナントごとの苦情率
- サードパーティ別の苦情率
- Spamhaus の IP リスト登録状況
- メール量のパターン
継続的な管理においては、テナントのリソースと設定を完全にコントロールすることができます。必要に応じて送信 ID や設定セットの割り当てや削除、評価ポリシーの調整、懸念されるパターンを発見した場合の手動での送信の一時停止などが可能です。この自動化されたモニタリング、明確な評価シグナル、柔軟な管理ツールを組み合わせることで、個々のテナントの問題がアカウント全体の評価に影響を与えることを防ぎながら、テナントを管理することができます。重要なのは、ダッシュボードと評価結果を積極的にモニタリングし、問題が発生した際に迅速に対応することです。
まとめ
お客様がテナント管理機能を活用して、メール運用を変革し、効率性を向上させ、ユーザーにより良い利用体験を提供するためにどのように活用されるのかを楽しみにしています。テナント分離を開始するには、Amazon SES コンソールにアクセスするか、Amazon SES デベロッパーガイドのテナントをご覧ください。料金の詳細については、Amazon SES の料金ページでご確認いただけます。お客様のフィードバックとニーズに基づいてテナントの分離と管理を改善することに取り組んでおり、将来的にはさらに強力で柔軟なメール管理機能を提供していく予定です。Amazon SES でマルチテナント管理を是非試してみてください。