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ユーザックシステム株式会社様:非定型の受注業務の自動化にAmazon Bedrockを活用し「Knowfa 受注AIエージェント」を開発。受注業務の80%自動化に成功
本ブログはユーザックシステム株式会社様と Amazon Web Services Japan 合同会社が共同で執筆いたしました。
みなさん、こんにちは。AWS アカウントマネージャーの藤川です 。
昨今、多くのお客様から生成 AI の活用についてご相談いただくようになりました。ISV(独立系ソフトウェアベンダー)/SaaS業界のお客様においても、生成 AI を活用した新しい製品・サービス開発の取り組みが増えてきています。
企業の業務プロセスの自動化・効率化を支援するユーザックシステム株式会社様(以下、ユーザックシステム様)は、Amazon Bedrock を活用し、従来は自動化が困難であった非定型の受注業務に生成AI を活用することによって自動化に成功しました。本記事では、生成AIを活用した受注業務における効率化の取り組みについてご紹介します。
お客様の状況と検証に至る経緯
ユーザックシステム様は、20年以上にわたり受注業務の効率化に取り組んできました。同社のRPA(Robotic Process Automation)ソリューション「Auto ジョブ名人」により、定型的な業務の自動化は着実に進展していました。
しかし、「得意先や担当者ごとに対応が異なる」「処理に人の判断が必要」といった非定型業務は、依然として人手に依存せざるを得ない状況が続いていました。特に食品卸業界では、FAXやメールでの注文書のやり取りが主流であり、これらを確認して社内システムに入力する作業に多大な工数を要していました。
また、取引先や社内システムごとに独自のルールが存在するため、受注担当者が一人前になるまでに約1年の経験が必要でした。さらに「昨今の人手不足も相まって、受注業務における生産性向上は喫緊の課題となっていました」とユーザックシステム様は当時を振り返ります。
ソリューション/構成
この課題を解決するため、ユーザックシステム様は「Knowfa 受注AIエージェント」の開発に着手しました。このシステムは、生成AIとRPAを組み合わせることで、非定型の受注業務の完全自動化を目指すソリューションです。(プレスリリースはこちら)
システムの処理フローは以下の通りです。
- 注文担当者が、お客様からのFAX や電子メールで届いた注文書の画像をシステムに登録する
- システムが注文書の画像を分析し、文字や数字を自動的に読み取る (例:商品名、個数、お客様情報など)
- システムは読み取った情報を使って、過去の注文データベースから類似の注文内容を探し出す(例:同じお客様の過去の注文や、似た商品の注文履歴など)
- システムは 2 で読み取った注文内容と 3 の過去のデータを照らし合わせて、注文内容を判断する (例:商品コード、注文数の確認など)
導入効果
Knowfa 受注AIエージェントの導入により、以下のような顕著な効果が得られました。
- AIエージェントが判断業務を担い、人はチェック業務だけに専念する役割分担を確立。これまでRPAで対応できなかった受注業務の80%自動化に成功。
- Amazon Bedrockのセキュリティや信頼性により、機密性の高いデータを扱うエンドユーザーにとって安心材料に。
また「AWSのサーバーレスアーキテクチャとマネージドサービスの活用により、エンジニア3名とプロジェクトマネージャー1名という少人数体制でも、約4ヶ月という短期間でβ版開発を実現できました」と、技術面でのメリットを説明します。
今後の展望
今後の展開について、ユーザックシステム様は次のように意欲を示しています。
「現在はFAX注文書を中心に対応していますが、今後はメールやその他の受注業務への展開も計画しています。Amazon Bedrock エージェントを活用し、AIエージェントの自律性を高めながら、対応可能な業務の範囲を拡大していきたいと考えています」
ユーザックシステム株式会社 : 上野 真裕様(中央)
Amazon Web Services Japan : アカウントマネージャー 藤川 高志朗(左端)、ソリューションアーキテクト 呉 敏禎(右端)