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AWS Price List が自然言語でアップグレードされました:AWS Pricing MCP サーバーの紹介
AI アシスタントを通じて、複雑な料金、提供状況やサービス情報をシンプルな会話に変換します。
複数の料金ページを行き来したり、コードを書いたりすることなく、AWS の料金をすぐに把握したいと思ったことはありませんか?AWS のサービスポートフォリオが 43 を超えるリージョンで 240 を超えるサービスに拡大するにつれて、クラウド専門家はますます大きな課題に直面しています。それは、製品、リージョンでの提供状況や料金の情報をより迅速に入手し、タイムリーな意思決定を行うことです。今後の AWS の製品や料金の情報とのインタラクティブなやりとりは、 既存のツールや開発環境内において自然言語で直接会話することにあると私たちは考えています。これにより、ドキュメントを切り替える必要がなくなり、シームレスな意思決定が可能になります。
今日、状況は変わります。AWS Labs GitHub リポジトリにあるオープンソースツール aws-pricing-mcp-server をリリースできることを嬉しく思います。このツールにより、モデルコンテキストプロトコル (MCP)を通じて、自然言語による料金の問い合わせをお気に入りの AI アシスタントで利用できるようになりました。これで、「us-west-2 で 3 つの m5.large インスタンスと 1 つの MySQL RDS データベースを実行するにはどれくらいのコストがかかりますか?」と簡単に尋ねることができます。また、ワークフローを離れることなく、自然言語による問い合わせで料金に関する回答を即座に得ることができます。
モデルコンテキストプロトコル(MCP)がワークロードの料金を簡素化する方法
モデルコンテキストプロトコル (MCP) は、AI エージェントがリアルタイムのデータソースに接続するための標準化された方法を提供します。AI アシスタントが現在の AWS 料金データに直接アクセスできるようにする万能翻訳機のようなものと考えることができます。これにより、推測や手作業による計算が不要になります。
AWS 料金 MCP サーバーの仕組み
aws-pricing-mcp-server は MCP を使用して AI アシスタントと AWS Price List API を直接つなぐ役割を果たします。これにより、Amazon Q などの AI アシスタントが現在の料金データにアクセスできるようになります。たとえば、Amazon Q Developer Command Line Interface (CLI) を aws-pricing-mcp-server で使用する場合、自然言語で AWS サービスについて質問したり、CDK や Terraform ファイルなどのインフラストラクチャコードを提供してコストを見積もることができます。Amazon Q では自動的に次のことが行われます。
- 要件(サービス、インスタンスタイプ、リージョンや可用性のニーズ)を分析します。
- AWS Price List API をクエリして、現在および過去の料金、製品の提供状況、リージョンでの提供状況や製品属性情報を確認します。
- 料金比較、提供リージョンやサービス仕様など、複雑なマルチサービス情報を処理します。
- 情報に基づいた意思決定に役立つ包括的な結果をわかりやすい形式で提示します。
なぜ利用するのか?
AWS のサービスと料金情報への自然言語によるアクセスは、複数の職種にメリットをもたらします。
- 開発者向け:料金計算ツールやドキュメントにコンテキストを切り替えることなく、開発フローを継続できます。アーキテクチャの選択を評価するときは、ターミナルや IDE から直接コストへの影響について尋ねてください。「Amazon Connect インスタンスの作成にはどれくらいの費用がかかりますか?」などの質問です。コスト最適化ソリューションの構築に役立つ、データに基づいた回答をすぐに受け取ることができます。
- FinOps 向け:複雑なリソースプランニングを簡単な会話に変えられます。スプレッドシートを作成したり、複数の料金ページを閲覧したりする代わりに、「各トランザクションに 2 回の API 呼び出しが必要だと仮定し、AWS KMS を使用して 200 万件のクレジットカードトランザクションを処理するコストを us-east-1 と eu-west-1 で比較してください」といった質問により、新しいワークロードに最適なリソースとリージョンをすばやく特定できます。
- ソリューションアーキテクト向け:リージョンのデプロイとサービスの互換性について、情報に基づいた意思決定を行えます。「どのリージョンが AWS Wavelength をサポートしていますか?」のようなサービスの提供状況について具体的な質問をしてください。AWS のグローバルフットプリント全体にわたるインフラストラクチャオプションを迅速に評価できます。
- クラウドガバナンスチーム向け:「S3 Object Lock はすべてのリージョンでリーガルホールドをサポートしていますか?」などの質問でリージョナルサービスの違いをすばやく特定することで、コンプライアンスとガバナンスを合理化します。
実際の動作例
自然言語による AWS のサービス、料金や提供状況に関する問い合わせの効果を示す 2 つのシナリオを見ていきましょう。以下の例は Amazon Q CLI と aws-pricing-mcp-server を使用して生成されました。
例 1:「7 GB 以上の RAM と 30 GB のローカル SSD ストレージを搭載した、ダブリンリージョンの EC2 インスタンスの最低料金はいくらですか?」
レスポンス:(訳注:日本語での問い合わせや回答も可能です)
Based on my analysis of EC2 pricing in Dublin (EU Ireland), here are the lowest-cost instances that meet your requirements of at least 7 GB RAM and 30 GB local SSD storage:
Top 5 Most Cost-Effective Options:
1. r6gd.medium - $0.064/hour ⭐ CHEAPEST
• Memory: 8 GiB
• Storage: 1 x 59 NVMe SSD
• vCPUs: 1
• Monthly cost: ~$46.08
2. r7gd.medium - $0.0756/hour
• Memory: 8 GiB
• Storage: 1 x 59 NVMe SSD
• vCPUs: 1
• Monthly cost: ~$54.43
3. x2gd.medium - $0.10/hour
• Memory: 16 GiB
• Storage: 1 x 59 SSD
• vCPUs: 1
• Monthly cost: ~$72.00
4. m6gd.large - $0.1008/hour
• Memory: 8 GiB
• Storage: 1 x 118 NVMe SSD
• vCPUs: 2
• Monthly cost: ~$72.58
5. m5ad.large - $0.115/hour
• Memory: 8 GiB
• Storage: 1 x 75 NVMe SSD
• vCPUs: 2
• Monthly cost: ~$82.80
Key Findings:
• Absolute lowest cost: r6gd.medium at $0.064/hour ($46.08/month)
• Best value for more storage: m6gd.large at $0.1008/hour with 118 GB NVMe SSD
• Best value for more memory: x2gd.medium at $0.10/hour with 16 GiB RAM
All prices are for On-Demand Linux instances with shared tenancy. The r6gd.medium offers the best price point while exceeding your minimum requirements with 8 GB RAM and 59 GB NVMe SSD storage.
例 2:「メッセージングシステムを構築しています。Amazon SQS スタンダードキューと Amazon SQS FIFO キューの料金モデルを、1 か月あたり 1 億件のメッセージを含むワークロードの料金モデルと比較してください。主な機能上の違いは何ですか? また、どちらを選択すればよいでしょうか?」
レスポンス:
Cost Comparison (100M messages/month)
| Queue Type | Price per Million Requests | Monthly Cost (after free tier) |
|----------------|----------------------------|--------------------------------|
| Standard Queue | $0.40 | $39.60 |
| FIFO Queue | $0.50 | $49.50 |
Cost Difference: FIFO queues cost 25% more than Standard queues ($0.50 vs $0.40 per million requests).
Key Functional Differences
Standard Queues
• Message Delivery: At least once delivery (may occasionally deliver duplicates)
• Message Order: Best-effort ordering (not guaranteed)
• Throughput: Nearly unlimited throughput
• Use Cases: High-throughput applications where occasional duplicates and out-of-order processing are acceptable
FIFO Queues
• Message Delivery: Exactly-once processing (no duplicates)
• Message Order: Strict first-in, first-out delivery guaranteed
• Throughput: Limited to 300 transactions per second (TPS) by default, up to 3,000 TPS with high throughput mode
• Message Groups: Support for message grouping (messages with same group ID processed in order)
• Deduplication: Built-in content-based deduplication or developer-provided deduplication IDs
When to Choose Each Queue Type
Choose Standard Queues when:
• Maximum throughput is critical
• Your application can handle occasional duplicate messages
• Strict ordering isn't required
• Cost efficiency is a priority
• You need to process millions of messages per second
Choose FIFO Queues when:
• Exact ordering of messages is critical (e.g., financial transactions, order processing)
• You cannot tolerate duplicate messages
• Your throughput requirements are under 3,000 TPS
• You need message grouping functionality
• You're willing to pay a 25% premium for these guarantees
Recommendations for Your Messaging System
1. Assess Your Requirements:
• Do you need guaranteed ordering?
• Is duplicate processing problematic for your use case?
• What's your expected throughput?
2. Consider a Hybrid Approach:
• Use FIFO queues for critical, order-dependent operations
• Use Standard queues for high-volume, less sensitive operations
3. Cost Optimization:
• Batch messages when possible (up to 10 messages per API call)
• Implement client-side deduplication for Standard queues if needed
• Use long polling to reduce the number of empty receives
For your specific workload of 100 million messages per month, the cost difference is approximately $10/month ($49.50 vs $39.60). This relatively small difference means your decision should be primarily based on your functional requirements rather than
cost considerations.
開始方法
aws-pricing-mcp-server は、Amazon Q Developer CLI、Claude Desktop、Kiro、その他の MCP 互換ツールを含む一般的な AI アシスタントとシームレスに統合されます。
前提条件
uv
を Astral もしくは GitHub README からインストールしますuv python install 3.10
を使用して Python をインストールします- AWS サービスにアクセスできる AWS 認証情報を設定します
- 適切な権限を持つ AWS アカウントが必要です
- AWS 認証情報を
aws configure
または環境変数で設定します - IAM ロール/ユーザーが AWS Price List API にアクセスする権限を持っていることを確認します
- MCP 対応の AI アシスタント (例:Q for CLI、Claude Desktop、Kiro)
インストール
Amazon Q Developer CLI のクイックセットアップ
MCP クライアント設定で MCP サーバーを設定します (たとえば、Amazon Q Developer CLI の場合は、 ~/.aws/amazonq/mcp.json
ファイルにサーバーを追加します)
チーム向けの Docker デプロイメント
エンジニアリングチームと財務チームに複数のユーザーがいる組織は、Docker を活用して再現性のある標準化されたデプロイメントを実現できます。
Docker イメージをビルドします。
AWS 認証情報を使用して.env ファイルを作成します。
注意:認証情報はホストから最新の状態に保つ必要があります
MCP クライアント設定で MCP サーバーを設定します (たとえば、Amazon Q Developer CLI の場合は、~/.aws/amazonq/mcp.json
ファイルにサーバーを追加します)。
認証
MCP サーバーには、特定の AWS 権限と設定が必要です。
必要な権限
AWS IAM ロールまたはユーザーには、AWS Pricing API にアクセスするための pricing:*
権限が必要です。サーバーは一般に入手可能な AWS 料金情報にアクセスし、ユーザー固有のデータは取得しません。Pricing API 呼び出しはすべて無料で、コストは発生しません。
設定
サーバーは次の 2 つの主要な環境変数を使用します。
AWS_PROFILE:
AWS 設定ファイルから使用する AWS プロファイルを指定します。指定しない場合、デフォルトの「デフォルト」プロファイルになります。AWS_REGION:
使用する地理的に最も近い AWS Pricing API エンドポイントを決定します。これにより、リクエストが最も近いリージョンのエンドポイントにルーティングされるので、パフォーマンスが向上します。
結論
aws-pricing-mcp-server は、AWS の料金およびサービス情報を操作する新しい方法を提供します。自然言語を使用してこのデータへのアクセスを簡素化することで、既存のワークフロー内で AWS サービス情報に直接アクセスするためのオプションが追加されました。
試してみる準備はできましたか?ドキュメント、使用例、サポートリソースについては、AWS Labs GitHub リポジトリをご覧ください。次の四半期のクラウド予算を計画しているビジネスアナリスト、リージョン間のサービス提供状況を評価するアーキテクトやアーキテクチャに関する意思決定をリアルタイムで行う開発者など、自然言語による問い合わせはワークフローの合理化と意思決定プロセスの改善に役立ちます。
今すぐ aws-pricing-mcp-server を試して、自然言語が AWS サービスとの関係をどのように変えるかを発見してください。
翻訳はテクニカルアカウントマネージャーの加須屋 悠己が担当しました。原文はこちらです。