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AWS Jam 実施レポート (AWS Summit Japan 2025)

2025 年 6 月 25 日・26 日に開催された AWS Summit Japan において、初日に「AWS Jam – チームで課題解決型ハンズオンに挑戦! (生成 AI 編)」を実施しました。本イベントには、クラウドスキルの向上を目指す 88 名の参加者が、4 名ずつ 22 チームに分かれて参加しました。

今回の AWS Jam イベントは、生成 AI がテーマでした。参加者は Amazon Bedrock や Amazon SageMaker AI などのサービスを活用し、生成 AI モデルの選択や適切なプロンプト設計、推論パラメータの調整など、実践的なスキルを競い合いました。会場は終始活気に満ち、「あ、そういう解決方法があったのか!」「この機能、こんな使い方ができるんですね!」といった声が会場のあちこちから聞こえ、互いのスキルや知見を共有しながら課題を乗り越える姿が印象的でした。

参加者からは「実践的な課題に取り組むことで、座学だけでは得られない気づきがあった」「チームメンバーそれぞれの得意分野を活かして協力できた」といった前向きな感想が多く寄せられ、学びと成長の場として大きな成功を収めることができました。

このブログでは、熱気あふれる当日の様子をより詳しくお伝えするとともに、AWS Jam がどのようにクラウド学習やチームでのスキル共有に役立つのか、また、AWS Jam を実施したい方向けに、AWS Skill Builder やクラスルームトレーニングなどの選択肢についてもご紹介します。

AWS Jam とは

AWS Jam は、AWS のユースケースに沿って用意された様々なテーマの課題を解決しながら「AWS を楽しく学ぶ」実践型のイベントです。参加者は AWS やシステム開発の知識や経験を活用し、必要に応じてその場で情報を調べながら、与えられた複数の課題を AWS マネジメントコンソールなどを利用してクリアしていきます。AWS Jam では、課題ごとに獲得得点やヒントが設定されており、時間内にクリアした課題と使用したヒントを総合してチームの得点を競い合います。

AWS Jam には「Play」「Learn」「Validate」の 3 つのコンセプトがあります。

  • Play (遊ぶ): 得点を競うゲーミング形式のイベントを通じて、楽しみながら課題解決に挑戦します。チーム内でのコミュニケーションの促進にもつながります。
  • Learn (学ぶ): シナリオに沿った課題を解決することで、AWS サービスの知識やスキルを身につけていきます。普段扱っていない AWS のサービスや機能を新たに学んだり調べたりする機会にもなります。
  • Validate (検証する): 課題解決を通して、参加者自身の AWS サービスに対するスキルや理解度を確認できます。

また、AWS Jam には生成 AI に関連する課題も多く用意されており、今回の Jam イベントでは、そんな生成 AI に関連する課題を 14 個選択しました。

AWS Jam 実施前のハイライト

今回の AWS Jam では 4 人でチームを組みます。登録時点ではチームは決まっておらず、会場に入場する際にくじ引きでチームを決定しました。ランダムにチームを決定することで、個人で参加する人のハードルを下げ、平等性を保つことを目的としました。

Jam 実施前の緊張感漂う会場

Jam 実施前の緊張感漂う会場
優勝チームにはトロフィー、2,3 位にはメダルが贈呈される

優勝チームにはトロフィー、2,3 位にはメダルが贈呈される

AWS Jam に参加するには、AWS Skill Builder のアカウントが必要です。開場からイベント開始までの時間を利用して、スタッフがサポートしつつアカウントの準備を行なっていただきました。また、準備が完了したテーブルでは、チームメンバーと自己紹介や雑談をして交流を深めていました。

準備が整ったらオリエンテーション開始です。オリエンテーションでは、AWS Jam のプラットフォーム上でイベントとチームに参加していただき、AWS Jam の紹介とチャレンジへの取り組み方の説明を行いました。

ファシリテーターの AWS テクニカルインストラクター 青木克臣

AWS Jam では、チームでの取り組み方にプラットフォーム上の制約は無く、複数人で相談しながら 1 つずつチャレンジを進めるモブ型や、チーム内で 2 人 1 組になってチャレンジを進めるペア型、手分けして個人でチャレンジを進めるソロ型があります。

本イベントでは、以下の理由からペア型またはモブ型での参加形式を採用しました。

  • 個人ではなく、チームとして AWS Jam イベントを楽しんでいただきたいと考えたため
  • AWS Jam が個人の学習だけでなく、参加者同士のスキル共有の場としても価値があることを体験していただきたいため

また、チャレンジに取り組む際には、AWS マネジメントコンソールやノートブックの操作を担当する「操作係」と、指示を出す「指示係」という役割分担をお願いしました。

AWS Jam 開始前にいくつかコツを伝えました。
例えば、ペアワークをうまく進めるコツとして、指示係が指示をする際には、具体的かつ意図まで伝えるようにしましょう (例:「プロンプトを修正しよう」ではなく「生成されたテキストが指定した形式に沿っていないので、プロンプトに具体的な出力形式の指示を追加して、JSON フォーマットで出力されるように修正しよう」や「ここの~」や「そこの~」といった曖昧な表現ではなく、「左上の~と書かれた四角いボタン」「右から3つ目に~」「xxというファイルの10行目のコードの~」など) というような点を伝えました。

また、チームで何かを達成したり、ポイントを獲得したりしたときには、チーム全員で拍手をすることでチームの連帯感を高め、チームでイベントを楽しんでいただけるようにしました。

AWS Jam 実施中の様子

「3、2、1…」カウントダウンの後、AWS Jam がついにスタートしました!

チームで AWS Jam に取り組む時間は 150 分です。AWS Jam が始まると、参加者たちは早速チーム内でペアを決めたり、最初に挑戦するチャレンジを相談したりと、活気に満ちた雰囲気が広がりました。

ペアワークやモブワークでは、画面を操作する「操作係」と、指示やサポートを行う「指示係」に分かれて協力しながらチャレンジに取り組む姿が見られました。
本イベントでは、各チームにモニターとホワイトボードを用意し、モニターには AWS マネジメントコンソールが映し出され、画面を見ながら意見を交わしていました。また、行き詰まった際にはホワイトボードを活用して考えを整理したり、図を描いて問題解決の糸口を探ったりする場面も見受けられました。

初対面のメンバー同士でも、課題を前に自然とコミュニケーションが生まれ、「こちらのサービスを使ってみては?」「このコマンドを試してみよう」と活発な意見交換が行われていました。時には笑い声も聞こえる和やかな雰囲気の中、チーム一丸となって課題解決に取り組む姿が印象的でした。

AWS Jam 実施中の様子 1/4 AWS Jam 実施中の様子 2/4
AWS Jam 実施中の様子 3/4 AWS Jam 実施中の様子 4/4

イベント中に、チャレンジを解決したチームに一言インタビューを実施したところ、「Bedrock に知らない機能があって、学びになった!楽しいです!」「めっちゃ楽しいです。引き続き頑張ります!」など感想をいただきました。

結果発表

激戦の結果、優勝は「Bed6」チーム、2 位が「Typhoon Monkeys」チーム、3 位が「kome」チームとなりました。各チームとも素晴らしいパフォーマンスを見せ、最後まで緊張感が漂う白熱した戦いを繰り広げました。おめでとうございます。

優勝: Bed6 のみなさま 2 位: Typhoon Monkeys のみなさま
3 位: kome のみなさま 上位 3 チームのメンバー

AWS Jam のコンソールでは、リーダーボードやスコアリングトレンドがリアルタイムで表示されるため、特に後半では他チームとの得点差に一喜一憂する様子が見られました。「あと 20 点差だ!」「次のチャレンジをクリアすれば逆転できる!」と、競争意識が高まることでチーム内の結束も一層強まっていきました。残り時間が少なくなるにつれて会場の熱気も高まり、最後の最後まで諦めずに挑戦し続けるチームの姿が印象的でした。

実施後のアンケートでは、「Bedrock や SageMaker など、普段使わない分野のサービスを使った実利用例について分かりやすく学べてとても良かった」「JAM楽しかった!」「とても学びが多く楽しかったです」といったコメントを多くいただきました。
組織で AWS のスキルアップを考えている場合には、ぜひ AWS Jam を活用してみてください。組織で AWS Jam を活用する方法は次にご紹介します。

AWS Skill Builder チームサブスクリプションで AWS Jam イベントを実施可能

AWS Skill Builder は 600 を超えるデジタルコースや AWS 認定公式練習問題などが学べるオンライン学習プラットフォームです。また、チームサブスクリプションを利用すれば、今回の AWS Summit で実施したような AWS Jam イベントをお客様が実施できるようになります。他にもたくさんのチャレンジから好みのチャレンジを選定し、組織内で回数制限なく自由にイベントを開催できます。AWS Skill Builder サブスクリプションのご案内のブログに詳細が記載されていますので、併せてご確認ください。

AWS Summit Japan 2025 の AWS Jam イベントは、生成 AI がテーマでした。AWS Jam には生成 AI に関連するチャレンジが多く存在しており、新規開発も進んでいます。(2025/07/04 時点)

AWS Summit Japan 2025 で使われたチャレンジの一覧はこちらです。すでに組織で AWS Skill Builder チームサブスクリプションを契約されている場合は、「AWS Summit Japan 2025」 のチャレンジセットを使用して、ぜひご自身の組織で開催してみてください。

レベル タイトル AWS サービス
Easy Unlocking Insights: Understanding the Voice of the Customer Transcribe, Bedrock, Lambda
Easy Your Query Whisperer SageMaker AI, Bedrock
Easy The Lord Of The RAGs Bedrock, SageMaker AI, Translate
Medium Intelligent Recipe Recommendation SageMaker AI, Bedrock
Medium GenAI Security: Time for Serious Dialogue Bedrock
Medium Silent Minds in the Cloud: No Trespassing Allowed Bedrock, VPC, Lambda
Medium Responsible Banking Assistant SageMaker AI, Bedrock
Medium Explain Model Decisions SageMaker AI
Medium AI-Assisted Application Factory on Amazon Bedrock SageMaker AI, Bedrock, S3, CloudFront
Medium Bits, Bytes, and Beyond: Fine-Tuning Expedition SageMaker AI, Lambda
Medium Your Data Discovery Guardian Angel Bedrock, SageMaker AI, Redshift
Medium Imagine the Impossible SageMaker AI
Medium Run your own virtual comics studio powered by multi agents SageMaker AI, Bedrock
Hard Keep your Taxbot in check Bedrock, Lambda

AWS クラスルームトレーニングで AWS Jam を提供中

AWS クラスルームトレーニングに AWS Jam を追加したコースも提供しています (2025/07/09 時点では個社向けの開催のみです)。こちらを選択していただく利点として、クラスルームトレーニングを受けた後に AWS Jam を受講できるため、 知識をインプットするだけでなく AWS Jam で実践することで、より理解を深めたりスキルとしての検証をしたりできる点があります。さらに、トレーニング企画時に AWS の担当者と相談しながら AWS Jam の実施方法を決めていけるので、以下のような要望も可能です。

  • Play / Learn / Validate のどのコンセプトを重視するか
  • 知識やスキルの近いメンバーでチームを組むか、均等になるようにチームを組むか
  • モブ型、ペア型、ソロ型など、どんな形式で進めるか

また、AWS Summit と同様に AWS の認定インストラクターが実施準備や当日の進行をするため、AWS Jam の用意や進行をするのに不安があるお客様にもおすすめです。

AWS Jam を追加したクラスルームトレーニングはオンラインでもオンサイトでもどちらでも提供可能です。オンラインの利点を活かして、普段は交流の少ないグループ内企業や国際拠点の従業員との交流の場としたり、オンサイトで部署やチーム内のスキル共有の場としてご利用いただいています。どちらもトレーニングでの知識のインプットだけでなく、AWS Jam で実践することで、知識を深めスキルとして検証できたとお客様から満足いただけております。
組織での AWS Jam 活用に興味がある場合は、 AWS トレーニングと認定へのお問い合わせからご連絡ください。(画面右上で「日本語」を選択し、日本語での問い合わせが可能です)

最後に

AWS Jam は、楽しみながら実践的に AWS を学ぶことができるイベントです。今回の AWS Summit Japan でも、熱戦が繰り広げられるとともに、チーム内でのスキル共有や新たな発見に満ちた有意義な時間としていただけました。これからクラウドスキルの向上を目指す方、ただ知識をインプットするだけでなく実践力を鍛えたい方、組織や個人のスキルを検証したい方にとって AWS Jam は最適です。
AWS Jam に挑戦したいと思った方は、AWS Skill Builder や AWS クラスルームトレーニング、AWS のイベント時に開催される機会を利用して AWS Jam に参加してみてください。

おまけ:本イベントでは、AWS トレーニングパートナー所属の AWS 認定インストラクターも運営メンバーとして加わっていました。当日運営をサポートいただいた AWS 認定インストラクターの方々、ありがとうございました。

(敬称略)

株式会社アシスト 木本 佳希
株式会社アシスト 嶋津 絵里子
NECビジネスインテリジェンス 吉田 薫
株式会社NTTデータ先端技術 田中 勇希
クラスメソッド株式会社 平野 文雄
株式会社システムシェアード 天野 盛介
トレノケート株式会社 金井 仁
トレノケート株式会社 久保玉井 純
トレノケート株式会社 髙山 裕司
トレノケート株式会社 山下 光洋
株式会社日立アカデミー 松川 信一郎
株式会社日立システムズ 藤巻 雄裕
株式会社f4samurai 酒井 幹士


ブログの著者

青木 克臣 (Katsuomi Aoki)
トレーニングサービス本部 テクニカルインストラクター