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Amazon Aurora DSQL の一般提供開始

5 月 27 日は、皆さんに Amazon Aurora DSQL の一般提供開始についてお知らせします。Amazon Aurora DSQL は、常時利用可能なアプリケーション向けの最高速のサーバーレス分散 SQL データベースで、実質上無制限のスケーラビリティと最高レベルの可用性を備えており、インフラストラクチャの管理は不要です。パッチ適用、アップグレード、メンテナンスのダウンタイムによる運用上の負担をなくすだけでなく、簡単な手順をいくつか行うだけで新しいデータベースを作成できる、使い勝手の良い開発者エクスペリエンスも確保できます。

AWS re:Invent 2024 で Aurora DSQL のプレビューが発表されたときは、複雑なリレーショナルデータベースの課題を単純化するこの革新的なソリューションにお客様から大きな期待が集まりました。基調講演では、Amazon.com の CTO であるワーナー ヴォゲルス博士が、Aurora DSQL の設計内で複雑性を前もって管理することについて話しました。ほとんどの従来型データベースとは異なり、Aurora DSQL は、query processor、adjudicator、journal、crossbar などの複数の独立したコンポーネントに細分化されています。

これらのコンポーネントは凝集性が高く、明確に指定された API を介して通信し、ワークロードに基づいて単独でスケールします。このアーキテクチャは、低レイテンシーとグローバルな時刻同期で、複数のリージョン間における強固な一貫性を実現します。Aurora DSQL が舞台裏でどのように機能するかに関する詳細については、ワーナー ヴォゲルス博士の基調講演を視聴し、Aurora DSQL ストーリーをお読みください。

Amazon Aurora DSQL のアーキテクチャ
アプリケーションは、最高速の分散 SQL 読み取り/書き込み機能を使用し、データベースシャーディングやインスタンスのアップグレードを行わなくてもワークロードの要求に合わせてスケールできます。Aurora DSQL では、アクティブ/アクティブ構成の分散アーキテクチャが、単一のリージョンで 99.99% の可用性、複数のリージョンで 99.999% の可用性を実現するように設計されています。つまり、リージョンのクラスターエンドポイントに接続できないというまれな状況でも、アプリケーションは強固な一貫性で読み取りと書き込みを継続することができます。

シングルリージョン構成では、Aurora DSQL がすべての書き込みトランザクションを分散トランザクションログにコミットし、コミットされたすべてのログデータを 3 つのアベイラビリティーゾーンにあるユーザーストレージレプリカに同期レプリケーションします。クラスターストレージレプリカはストレージフリート全体に分散され、自動的にスケールして最適な読み取りパフォーマンスを確保します。

マルチリージョンクラスターは、シングルリージョンクラスターと同じレジリエンシーと接続性を提供しながら、ピアリングされたクラスターリージョンごとに 1 個ずつ配置された、合計 2 個のリージョナルエンドポイントを使用して可用性を向上させます。ピアリングされたクラスターのエンドポイントは、どちらも単一の論理データベースを提供し、強力なデータ整合性で同時読み取り/書き込み操作をサポートします。3 番目のリージョンはログ限定のウィットネスリージョンとして機能するので、クラスターリソースやエンドポイントはありません。つまり、地理的位置、パフォーマンス、またはレジリエンシーといった目的のためにアプリケーションと接続のバランスを取ることができるので、読み取り元に同じデータを一貫的に提供することが可能になります。

Aurora DSQL は、マイクロサービスやイベント駆動のアーキテクチャを使用するアプリケーションのサポートに最適な選択肢であり、銀行、e コマース、旅行、小売りなどの業界向けに、高度なスケーラビリティを備えたソリューションを設計できます。また、マルチテナントの Software as a Service (SaaS) アプリケーションや、マルチリージョンのスケーラビリティとレジリエンシーを必要とする支払い処理、ゲームプラットフォーム、ソーシャルメディアアプリケーションといったデータ駆動型のサービスにも最適です。

Amazon Aurora DSQL の使用を開始する
Aurora DSQL は、シンプルなコンソールエクスペリエンスをはじめとして、使い勝手の良いエクスペリエンスを提供します。使い慣れた SQL クライアントを使用して既存のスキルセットを活用したり、他の AWS サービスと統合してデータベースの管理を改善したりできます。

Aurora DSQL クラスターを作成するには、Aurora DSQL コンソールにアクセスし、[クラスターを作成] を選択します。ニーズに適したデータベースインフラストラクチャを確立できるように、[シングルリージョン][マルチリージョン] の構成オプションを選択できます。

1.シングルリージョンクラスターの作成

シングルリージョンクラスターは、[クラスターを作成] を選択するだけで作成できます。それ以外は必要ありません。

数分後に、Aurora DSQL クラスターが作成されたことを確認できます。クラスターを接続するには、PostgreSQL インタラクティブターミナルDBeaverJetBrains DataGrip などのお気に入りの SQL クライアントを使用することも、データベースのエンドポイントと認証トークン (パスワード) を使用するプログラム可能な各種アプローチを取ることもできます。自動化されたトークンの生成とローテーションのために AWS Secrets Manager と統合して、インフラストラクチャ全体での認証情報管理のセキュア化と簡素化を図ることができます。

認証トークンを取得するには、クラスターの詳細ページで [接続] > [トークンを取得] の順に選択します。[認証トークン (パスワード)] セクションで [管理者として接続] を選択したら、[エンドポイント (ホスト)] にあるエンドポイントと生成された認証トークンをコピーします。

その後は、[CloudShell で開く] を選択し、数回クリックするだけで、クラスターにシームレスに接続できます。

Aurora DSQL クラスターを接続したら、サンプル SQL ステートメントを実行してクラスターをテストします。アプリケーションの SQL ステートメントは、Python、Java、JavaScript、C++、Ruby、.NET、Rust、Golang などのお気に入りのプログラミング言語を使用してクエリすることもできます。Django、Ruby on Rails、AWS Lambda アプリケーションを使用してサンプルアプリケーションを構築し、Amazon Aurora DSQL とやり取りすることができます。

2.マルチリージョンクラスターの作成

マルチリージョンクラスターを作成するには、他方のクラスターの Amazon リソースネーム (ARN) を追加して、クラスターをピアリングする必要があります。

1 番目のクラスターを作成するには、コンソールで [マルチリージョン] を選択します。[ウィットネスリージョン] を選択する必要もあります。このリージョンはピアリングされたリージョンに書き込まれたデータを受信しますが、エンドポイントはありません。[クラスターを作成] を選択します。既にリモートリージョンクラスターがあるという場合は、オプションでその ARN を入力できます。

次に、[クラスターの作成] を選択して既存のリモートクラスターを追加するか、別のリージョンに 2 番目のクラスターを作成します。

ここでは、ピアクラスター ARN を 1 番目のクラスターとして、2 番目のクラスターを作成できます。

2 番目のクラスターが作成されたら、マルチリージョンの作成を完了するために us-east-1 内のクラスターをピアリングする必要があります。

1 番目のクラスターのページに移動し、[ピアリング] を選択して、両方のクラスターのクラスターピアリングを確認します。

これで、マルチリージョンクラスターが正常に作成されました。他のリージョンにあるピアに関する詳細は、[ピア] タブで確認できます。

Aurora DSQL を実際に体験するには、こちらのステップバイステップワークショップを利用できます。このワークショップでは、アクティブ/アクティブ構成のレジリエンシーを備えたサンプル小売リワードポイントアプリケーションを構築しながら、アーキテクチャ、主な考慮事項、ベストプラクティスについて説明します。

Aurora DSQL をプログラム的に作成して管理するには、AWS SDKAWS コマンドラインインターフェイス (AWS CLI)Aurora DSQL API を使用できます。詳細については、「Amazon Aurora DSQL User Guide」の「Setting up Aurora DSQL clusters」を参照してください。

プレビュー後に追加された機能
プレビュー期間中にお寄せいただいたフィードバックや提案を使用して、新しい機能を追加しました。これらの新しい機能をいくつかご紹介します。

  • コンソールエクスペリエンス – マルチリージョンクラスターの作成やピアリング、AWS CloudShell を使用した簡単な接続を行えるように、クラスター管理エクスペリエンスを改善しました。
  • PostgreSQL 機能 – PostgreSQL ビューや既存データを含むテーブルの一意のセカンダリインデックスに対するサポートを追加し、正確なテーブル統計を手動で維持する必要をなくす Auto-Analyze を導入しました。Aurora DSQL の PostgreSQL 互換機能に関する情報をご覧ください。
  • AWS サービスとの統合 – 完全なスナップショットバックアップと Aurora DSQL クラスター復元のための AWS Backup、プライベートネットワーク接続のための AWS PrivateLink、Aurora DSQL リソースを管理するための AWS CloudFormation、Aurora DSQL 操作をログに記録するための AWS CloudTrail といった、さまざまな AWS サービスとの統合を行いました。

Aurora DSQL は、生成 AI モデルとデータベースが自然言語を使用して簡単にやり取りできるようにすることで開発者の生産性を向上させる Model Context Protocol (MCP) サーバーの提供を開始しました。例えば、Amazon Q Developer CLI をインストールして Aurora DSQL MCP サーバーを設定できます。Amazon Q Developer CLI は Aurora DSQL クラスターにアクセスできるようになりました。データベースのスキーマを手軽に調べたり、テーブルの構造を理解したりすることや、複雑な SQL クエリを実行することさえも可能です。これらはすべて、追加の統合コードを作成することなく実行できます。

今すぐご利用いただけます
5 月 27 日から、Amazon Aurora DSQL のシングルリージョンクラスターとマルチリージョンクラスター (2 つのピアリージョンと 1 つのウィットネスリージョン) を米国東部 (バージニア北部)、米国東部 (オハイオ)、米国西部 (オレゴン) の AWS リージョンで、シングルリージョンクラスターをアジアパシフィック (大阪)、アジアパシフィック (東京)、欧州 (アイルランド)、欧州 (ロンドン)、欧州 (パリ) の AWS リージョンでご利用いただけます。

料金は月単位で請求され、読み取り/書き込みなどのすべてのリクエストベースのアクティビティに対し、Distributed Processing Unit (DPU) と呼ばれる単一の正規化された請求単位が使用されます。ストレージはデータベースの合計サイズに基づいており、GB-月単位で測定されます。シングルリージョンクラスターまたはマルチリージョンピアクラスターごとに、データの 1 つの論理コピーに対する料金のみが請求されます。AWS 無料利用枠の一環として、毎月最初の 100,000 DPU と 1 GB-月のストレージが無料になります。詳細については、「Amazon Aurora DSQL Pricing」をご覧ください。

Aurora DSQL コンソールで Aurora DSQL を無料でお試しください。詳細については、「Aurora DSQL User Guide」をご覧ください。AWS re:Post for Amazon Aurora DSQL、または通常の AWS サポートの連絡先を通じてお寄せいただくフィードバックもお待ちしています。

Channy

原文はこちらです。